来年4月に経営統合する乳業最大手の明治乳業と菓子大手の明治製菓が31日発表した
2008年9月中間連結決算によると、それぞれ原材料高によるコスト増を商品の値上げで
吸収しきれず業績が大幅に悪化した。
明治乳業の本業のもうけを示す営業利益は、前年同期比20.1%減の100億円と伸び
悩んだ。市乳事業で主力の牛乳類の販売が4月の30年ぶりの値上げの反動で前年割れと
なったのが響いた。景気の悪化による消費者の生活防衛意識は予想以上で、値上げによる
「買い控えにつながった」(永田毅専務)という。またスーパーなどが相次いで低価格の自主
企画商品のプライベートブランド(PB)商品を導入し、こうしたPB商品にもシェアを奪われた。
最終利益は同33.8%減の52億円、売上高は同2.6%増の3747億円だった。
明治製菓は、最終損益が約3億円の赤字(前年同期は24億円の黒字)に転落した。中間期
での最終赤字は4年ぶり。原材料高によるコスト増に加えて、保有株式下落による評価損や
棚卸し資産の評価損などを特別損失として10億円計上したのが影響した。
営業利益は主力の「フード&ヘルスケア事業」が振るわず10億円の営業赤字に陥ったこと
や薬価改定が響き、同51.7%減の17億円と大幅減となった。売上高は同2.1%増の
1910億円とプラスを確保したものの、当初計画には20億円届かず未達に終わった。
両社とも通期業績見通しについては、前回予想を維持する方針だ。しかし、「経済情勢が
不透明で、厳しい環境が続く」(明治製菓の高橋秀樹常務執行役員)としており、下ぶれ圧力が
高まることも予想されそうだ。
【予報図】■利益率改善 世界への“切符”
明治乳業と明治製菓は来年4月に経営統合し、共同持ち株会社「明治ホールディングス(HD)」
を発足させる。明治HDの売上高は1兆1000億円超となり、売上高1兆円を超える国内7社目
の食品メーカーに名を連ね、大手の一角に食い込めることになる。
少子高齢化で“胃袋”が縮小する国内市場は競争激化が避けられないため、食品業界に
とってはアジアなど新興国を中心とした海外市場の開拓が急務になっている。早期にブランドを
立ち上げるには海外企業を視野に入れたM&A(企業の合併・買収)戦略に打って出る必要が
出てくるが、そのためには手元の資金力が絶対条件で、業界では「少なくとも売上高1兆円
規模」が参加資格といわれる。
規模の面では乳業と製菓は統合により海外市場への“切符”を手に入れた格好だが、新興国
で先行する欧米企業に比べると“体力”の面では見劣りする。収益性を売上高営業利益率で
みると、売上高が10兆円規模の食品世界最大手ネスレの10%超に対して、乳業と製菓は
今9月中間期の単純合算で2.1%と足元にも及ばない。
両社が成長の柱と位置づける健康栄養事業も異業種からの参入が相次ぎ、競争は厳しい。
同根とはいえ、異業種同士の統合のためシナジー(相乗効果)も限定的とされ、今後、利益率を
改善していかないと統合効果に黄色信号が灯ることになる。
ソース:フジサンケイビジネスアイ
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200811010062a.nwc (ニュースリリース等は
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