【調査】9月の全国消費者物価、2.3%上昇[08/10/31]

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11※依頼ありました:52-12@西進φ ★
 物価上昇に歯止めがかかってきた。総務省が31日発表した9月の全国消費者物価指数は、
変動の大きい生鮮食品を除く総合指数(CPI、2005年=100)が102.6と前年同月比2.3%
上昇したが、上げ幅は前月に比べ0.1ポイント縮小した。ガソリン価格の下落を背景に物価が
天井を打ち、今後は少しずつ上昇率が縮小していく可能性も出てきた。家計にとっては朗報だが、
景気後退による消費不振が続けば、物価が持続的に下落するデフレに逆戻りする懸念も出て
きそうだ。

◆「別の局面に移行」

 物価上昇幅の縮小は、今年4月に揮発油(ガソリン)税の暫定税率失効の影響で前月比減と
なったことを除けば、07年3月以来1年半ぶり。米国発の金融危機のあおりを受け、先行きの
需要減に加え、原油・原材料の先物市場から投資資金が逃避したためで、与謝野馨経済財政
担当相は同日の会見で「原油や穀物などの相場は、バブルの時代から別の局面に移行した」と
分析した。

 その言葉通り、原油などの高騰が消費者物価を上昇させる状況は変わりつつあり、みずほ証券
の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「7、8月に記録した2.4%の上昇がピークだった可能
性が大きい。今後は着実に縮小を続ける」と指摘。生鮮食品を除く指数は、10月には一気に2%
を割り込み、1.9%になると予測した。

 9月の品目別では、ガソリンは前月比で5.6%下落。電気・ガス代を含めたエネルギー全体も
2.4%下がった。ただ、生鮮食品を除く食料は0.2%増だ。11月には、味の素がうま味調味料を
28年ぶりに5〜10%値上げするほか、一部の冷凍食品や製粉会社が小麦粉の値上げに踏み
切る。

 それでも価格据え置きや値下げの動きも交錯し、消費財価格の上昇基調はひとまず落ち着く
見通し。企業が対応に苦慮する中で、「値上げのピークは過ぎた」(農林中金総合研究所の南武志
氏)との声もあがっている。

 内閣府は、原油・原材料の価格上昇は海外に所得に移転するが、逆に価格が低下すれば「内需
には好影響が出てくる」(幹部)と分析する。しかし、消費は低調のまま。9月の1世帯当たり消費
支出は28万1433円と、実質で2.3%減少。景気後退局面に入り、家計が消費を抑える傾向が
まだ続いている。7〜9月の鉱工業生産指数がマイナスとなるなど世界経済低迷に伴う企業業績
の悪化も懸念される。