クウェート2位の銀行、ガルフバンクは27日に取り付け騒ぎに見舞われた。クウェート中央銀行が、
デリバティブ(金融派生商品)に関連して損失を出したガルフバンクの預金保護を余儀なくされたことが背景だ。
同国をはじめ、湾岸諸国でも銀行支援に乗り出すケースが出てきており、金融危機の影響が中東
地域にも波及してきた。
ガルフバンクの幹部はブルームバーグの電話取材に対し、「利用者が預金を引き出した」と認め、
「彼らを責めることはできない」と付け加えた。同幹部は損失額や、引き出された預金額に関しては
明らかにしなかった。
国営クウェート通信は26日、クウェート財務相の発言を引用し、クウェート中央銀行がガルフバンク
の預金を保護する方針だと伝えた。
エンジニアのカーリッド・アルマトルークさん(33)は27日、ほかの利用者とともに、クウェート市内に
あるガルフバンク本店の外に並んだ。アルマトルークさんは、26日のニュースを聞いて恐ろしくなった
という。「1万2000デシ(約423万円)引き出すつもり。このお金は、クウェート国営銀行(NBK)か
クウェート商業銀行に預けようと思います」
クウェート証券取引所は26〜28日の間、ガルフバンク株の取引を停止している。
ペルシャ湾岸地域は、今までのところ、世界的な金融危機の影響を最も受けずにいる地域である。
しかし、クウェートは国内の銀行システムにてこ入れを行った同地域3番目の国となった。
原油価格の高騰が収束をみせるなか、ペルシャ湾岸地域の通貨や株式、不動産市場は苦境を呈している。
アラブ首長国連邦(UAE)は12日、国内のすべての銀行や大規模な外銀を対象に預金保護を保証
することを明らかにした。
サウジアラビアは、26億7000万ドル(約2493億円)を、国営サウジ・クレジット・バンクに資本注入し、
低所得者向けの特別融資を実施する。
ドバイにある投資銀行シュア・キャピタルで資産管理部門の責任者を務めるハイッサム・アラビ氏は
「金融危機の影響は今や、中東にまで広がりつつある」と指摘する。
▽ソース:FujiSankei Business i Bloomberg (2008/10/29)
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200810290098a.nwc