アサヒビール、キリンホールディングス、サントリー(大阪市)のビール大手3社がニュージーランド・
オーストラリア系飲料大手、フルコア社の買収に名乗りを上げていることが明らかになった。
中でもアサヒが有利な状況にあるという。関係筋が22日、明らかにした。
買収総額は、有利子負債を含め約700億円かそれを若干下回る見通し。関係筋によると、最終入札
は先週末に締め切られた。入札には、ファイナンシャルバイヤーとして複数のファンドも名乗りをあげて
いたが、最終的に戦略的な投資家として日本のビールメーカーが残ったもようだ。別の関係筋やアナリスト
は、コカ・コーラ・アマティルやフレーザー&ニーブ・ホールディングスも最終候補に残っていると述べた。
フルコア社は、フランスの食品大手ダノンの完全子会社で、JPモルガンをフィナンシャル・アドバイザー
に起用し、今回の売却作業を進めている。アサヒはデューデリジェンスを行い有利に交渉を進めているが、
アサヒで決着するかどうかは流動的という。
アサヒ、キリンHD、サントリーの3社はともに「ノーコメント」(広報)としている。
入札プロセスに参画していたファンドには、パシフィック・エクイティ・パートナーズ、CCMPキャピタル・
アジアのほか、KKR[KKR.UL]を含む複数のファンド連合(コンソーシアム)などが入っていた。
国内ビール市場が縮小していることもあり、ビール各社は海外での事業拡大に積極的だ。みずほ証券の
シニアアナリスト、佐治広氏は「アジア・オセアニア地域全体で言えば、場合によってはアルコール飲料より
飲料(ソフトドリンク)の方が伸びが大きいのではないか」と指摘する。
8月にはキリンHDが豪州第2位の乳事業会社デアリーファーマーズを買収した。アサヒも台湾で販売体制
を強化したり、ロシア最大手のビールメーカーとライセンス契約を結ぶなど、各社が海外事業の拡大を急いで
いる。
▽ソース:ロイター (2008/10/22 15:01)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-34450720081022