【エネルギー】本格化する薄膜太陽電池バトル[08/10/13]

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1やるっきゃ騎士φ ★
ソースは
http://www.business-i.jp/news/flash-page/news/200810130058a.nwc

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環境問題への関心の高まりとともに需要が拡大している太陽電池。現在、世界の主流である
結晶系太陽電池に対し、原材料のシリコンを節約できる「薄膜太陽電池」をめぐる動きが
活発になってきた。平成21年度の稼働に向け、世界最大級の薄膜太陽電池工場を堺市で
建設しているシャープは葛城工場(奈良県葛城市)に増設した新ラインを今月稼働させたほか、
三洋電機も、新日本石油との合弁会社設立に向けて協議に入った。異業種参入も交えた、
“太陽電池バトル”の様相をみせている。
     ◆
残暑に見舞われた10月1日。シャープ葛城工場の新ラインで生産された薄膜太陽電池の
出荷式が行われた。できあがったばかりの薄膜太陽電池パネルが50枚ごとに重ねられ、
束がひとつずつフォークリフトによって大型トラックに積み込まれていく。担当役員の
濱野稔重副社長ら約40人の出席者はハンカチで汗をぬぐいながら、工場を後にする
トラックに向かって手を振って見送った。

薄膜型の新たな生産ラインは、面積がこれまでの2・7倍に相当する1メートル×1・4
メートルの大型ガラス基板を採用したのが特徴だ。葛城工場の太陽電池の生産能力は結晶系
695メガワット、薄膜型15メガワットだったが、薄膜型を160メガワットと10倍強に
増強した。出荷式後の記者会見で、濱野副社長は「これまでの結晶系を主力とした戦略から、
薄膜型を加えた『両輪』で事業を強化していく」と語った。

堺市では最大1000メガワットまで拡張できる薄膜型新工場の建設が進む。今後、葛城工場で
薄膜型の生産技術やノウハウを確立し、堺工場に移植。堺工場をモデルとして薄膜型の
工場進出を検討している欧州など世界展開につなげるシナリオだ。
シャープは将来的に薄膜型の年産能力を6000メガワットまで高める構想を掲げている。
葛城工場での増産はそのキックオフで、同社の太陽電池事業の世界展開の成否を占う試金石と
なっている。
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薄膜型が台頭してきた背景には、ここ2年の間に2割以上も価格が上昇したとされるシリコンの
需給逼迫(ひっぱく)がある。高純度のシリコンは太陽電池のほか半導体向けにも使われる
ため、争奪戦となっており、脱シリコンの動きを後押ししているわけだ。

シャープと同様に、結晶系と薄膜型の“両輪作戦”をとるのは、三洋電機も同じだ。太陽光を
電気に変換できる割合を示す「変換効率」で世界トップレベルの「HIT太陽電池」を擁する
三洋は、岐阜県安八町で技術開発を進めてきた薄膜型の量産に向けて動き始めた。新日石と
年内合意を目標に、来年4月をめどとする合弁会社設立の協議をスタートし、22年度の
商品化を目指す。

-続きます-
2やるっきゃ騎士φ ★
-続きです-
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三洋は、HIT太陽電池にも22年度までに700億円を投じて年産能力を600メガワット
(20年度は340メガワットを予定)に高めたい考えだが、「HITは三洋単独で、薄膜型は
合弁事業化でいく」(駿田和彦副社長)と割り切っている。

HITは設置面積の狭い住宅屋根向け、薄膜型は広大な遊休地を生かした太陽光発電事業向けと
「住み分け」を図り、多くのニーズに対応する考えだ。
9月30日に東京都千代田区のホテルで開かれた記者会見。新日石と設立する合弁会社への
出資比率をめぐり、三洋が過半数を取れるのかどうかをただす質問が相次いだ。
他社との共同出資は自社の投資負担を軽減できるメリットがある半面、出資比率次第で
合弁会社への発言力が弱くなりかねない。駿田副社長は「出資比率は今後の協議で検討したい」
と繰り返したが、「太陽電池事業の主権を放棄するわけではない。合弁会社を大きく育てて、
事業の柱にしていく」と強調した。

携帯電話機事業を京セラに売却するなど“聖域なき再編”を加速させ、三洋は20年3月期
連結決算で4期ぶりの最終黒字を達成している。20年度から3カ年の中期経営計画で、
太陽電池は収益の根幹をなす位置づけとなっている。
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薄膜太陽電池に熱い視線を注ぐのは電機メーカーだけではない。昭和シェル石油やホンダが
子会社を通じて、シリコンを使わずに銅やインジウムといった金属化合物を主成分とした
薄膜太陽電池の量産を行うなど異業種参入の動きも進んでいる。
昭和シェルは、1000億円程度を投じて23年に年産能力1000メガワット態勢を築く
方針。三菱重工業も、長崎県諫早市で微小なシリコン結晶を使った薄膜太陽電池の量産を
始めた。
乱戦模様の薄膜太陽電池だが、関係者の間に「22年以降、シリコンの供給量が増えて価格が
下落する」との見方も浮上している。結晶系との変換効率の差をどれだけ縮められるか、が
薄膜型の普及拡大のカギを握りそうだ。

-以上です-
依頼を受けてたてました。