【コラム/エネルギー】石炭有効利用に不可欠な日本の高効率発電技術−日経BP[08/10/02]
◆石炭需要の増加に警戒感高まる
「途上国の発電、石炭主力に」という見出しで、「2030年の石炭消費量が2005年に比べて73%増になる」
という国際エネルギー機関(IEA)の発電電力量予測を報じたのは2008年9月8日の日本経済新聞朝刊で
ある。このような内容のほかにも、石炭の価格高騰を報じる記事が、昨年後半から目に付くようになった。
背景として、石油価格の高騰に引きずられたという側面もあるが、石炭の需要が大きく伸びたことも見逃せ
ない。資源エネルギー庁の2007年版エネルギー白書は、2005年における世界の石炭消費量について約59
億tという数字を挙げている。これを 2002年の需要である約48億t(IEA発表)と比較すると大幅な増加になって
いる。日本も例外ではなく、2008年4月9日の日経新聞夕刊は、 2007年の石炭輸入量が1億8613万tになり、
前年比で5.1%増えたという貿易統計のデータを紹介している。
石油に比べて石炭は、同じ熱量を得るのに1.25倍の二酸化炭素(CO2)が発生する。ちなみに、天然ガス
なら石油の4分の3で済む。したがって、地球温暖化防止の観点からすると、石炭の需要増は大きなマイナス
要因と考えざるを得ない。2008年7月7日の日経新聞朝刊は、「気候変動は取り返しのつかないところに来つつ
ある。排出量が多い石炭火力発電の縮小が急務だ」とする、米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙科学研究所
のジェームズ・ハンセン所長の講演を紹介しているが、現実は、ハンセン所長の警告とは逆の方向に推移して
いる。
石炭の確認可採埋蔵量は約9000億tと言われている。これを消費量の59億tで割ると、資源寿命は150年強
という計算になる。このような資源寿命の数字は信頼性が高くないものの、石油の40年程度、天然ガスの60年
程度と比較すると、「資源量」という面では、石炭は優れたエネルギー源ということになる。石炭の利用を全面
否定するより、上手に使いこなす技術を開発するほうが現実的な選択肢と言えないだろうか。(鳥井 弘之 氏)
▽ソース:日経BP (2008/10/02)
http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/torii/35/index.shtml (1/3)
http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/torii/35/02.shtml (2/3)
http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/torii/35/03.shtml (3/3)
記事は
>>2以降に続きます。
>>1の続きです。
◆高効率化の主役は日本のタービン技術
冒頭に取り上げた2008年9月8日の日経新聞朝刊の記事では、さらに、「石炭火力の発電効率は日本の
場合、平均40%と高いが、世界全体では30%台」とし、「現状の日本の技術を米中印の3カ国に移転する
だけで、世界全体のCO2排出量を5%弱減らせる」というIEAの試算を紹介している。
この試算を裏付けるように、2008年9月13日の日経産業新聞は、中国電力が中国最大の発電会社である
中国華能集団と、石炭火力発電所に関する省エネ技術協力について覚書を結んだと報じた。中国・河北省
にある中国華能集団の石炭火力発電施設を更新することで、年間150万tに上る同発電所のCO2排出量を
5万〜9万t削減できるという。将来的に中国電力は、この分の排出権を取得する計画である。
さらに、2008年5月15日の日経産業新聞には、日本、米国、中国などの電力業界が4月から5月にかけて
行った、熱効率改善調査の結果が掲載された。この調査では、ウィスコンシン州にある米アライアント・エナジー
社の2つの火力発電所を対象として、施設の改善策を検討したという。ここでは、ボイラー燃焼の最適化や
蒸気タービンの効率向上、冷却水の水質改善など、日本が提案・作成したチェックリストに基づいた検討が
行われ、各発電所で熱効率を1〜1.5%改善できるとの結論を得た。これは、年間約9万tのCO2削減に相当する。
旧聞に属するが、「石炭火力発電所、日立、欧州で3000億円受注」という見出しの記事が2007年5月24日
の日経新聞朝刊にあった。欧州の電力大手であるベルギーのエレクトラベルから受注し、ドイツとオランダに
3基の大型石炭火力発電所を建設する。超臨界圧方式のボイラーによる高効率発電技術が、日立製作所の
受注に結び付いたという。ボイラーでつくる水蒸気の温度が高ければ高いほど発電効率は上がるが、温度が
高くなると材料面で難しくなる。日本の重電メーカーはこの技術で世界に先行し、日立は600℃、220気圧という
高温高圧での稼働を実現している。超臨界圧方式を採用することで、従来方式に比べるとCO2の発生量を6%
削減できるという。
これと関連し、 2008年9月8日の日経新聞朝刊は、「日立、東芝、三菱重工業などが、石炭火力発電に使う
蒸気タービン用の新しい耐熱合金を開発した」という記事を掲載した。日立は700℃まで耐えるニッケル・鉄
合金を、東芝は別のニッケル系合金と加工技術を、三菱重工はニッケル・クロム合金の溶接技術をそれぞれ
開発したという。記事によると、今後、各社の技術を組み合わせて700℃で運転できる蒸気タービンを試作するという。700℃での実稼働が実現すれば、600℃ で稼働している現行のタービンと比べ、エネルギー効率が6
ポイント向上し48%を実現できる。なお、この記事は、日立が2007年度中に、南アフリカなどで10基以上、
1兆円相当のボイラー設備を受注したことについても触れている。(鳥井 弘之 氏)
▽ソース:日経BP (2008/10/02)
http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/torii/35/index.shtml (1/3)
http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/torii/35/02.shtml (2/3)
http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/torii/35/03.shtml (3/3)
記事は
>>2以降に続きます。
>>3の続きです。
◆CO2削減に効果的なガス化技術
石炭の利用において、CO2の発生を抑制する技術として注目されるのがガス化である。2007年8月11日の
朝日新聞朝刊には、「深い石炭、地中でガス化 丸紅、ベトナムで実用化試験」という見出しの記事が掲載
された。丸紅やベトナム石炭鉱産物公社、豪リンク・エナジー社がハノイ郊外の石炭層をガス化して取り出し、
発電する事業を共同で実施することに合意したという。石炭層に酸素を吹き込み、火をつけ蒸し焼きにする
ことで発生した水素と一酸化炭素の合成ガスを利用して発電すれば、通常の石炭火力発電よりも、CO2を
20〜30%削減できる。
石炭を地中でガス化する技術開発については、日経新聞が2008年6月17日の夕刊で、三菱マテリアルや
丸紅が国内の大学や研究機関と協力して取り組むというニュースを報じている。2010年までに、国内の炭坑
に設備を設置して試験を行うという。参加12社と9大学・機関は、採掘した石炭を地上でガス化する場合に
比べると、初期投資が10分の1で済むと試算している。さらに、2008年6月3日の日経産業新聞は、中国電力
とJパワー(電源開発)が、地中ではなく、地上の設備で石炭をガス化して利用する技術の実証に取り組むと
伝えている。
石炭を不完全燃焼させて水素と一酸化炭素を発生させる技術は、かつて石炭から都市ガスを製造する工程
として実際に使われており、その意味で、技術的な困難はほとんどないと考えられる。しかし、その反応を地中
で行う場合、毒性が強い一酸化炭素などの生成ガスが地層の亀裂などから漏れ出さないことを十分に確認
する必要がある。
このように見てくると、石炭火力発電におけるCO2削減という取り組みでも、日本の技術が世界をリードして
いることがわかる。IEAが指摘するように、日本の技術を世界に広げるべく、国を挙げた努力が望まれる。また、
石炭火力発電から発生するCO2を回収して地中などに隔離し、大気中にCO2を放出させないというCCS(炭素
隔離・貯留)も有力な技術であり、この1年間ほどでも、さまざまな報道がされている。これについては別の機会
にまとめてみたい。(鳥井 弘之 氏)
▽ソース:日経BP (2008/10/02)
http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/torii/35/index.shtml (1/3)
http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/torii/35/02.shtml (2/3)
http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/torii/35/03.shtml (3/3)
すみません。
>>3のアンカー間違えました。
>>2の続きです。
に訂正させていただきます。
5 :
名刺は切らしておりまして:2008/10/04(土) 02:05:58 ID:1ezS09Fh
なげーーー・・・
6 :
名刺は切らしておりまして:2008/10/04(土) 02:19:05 ID:oDRL9wmV
7 :
名刺は切らしておりまして:2008/10/04(土) 03:01:36 ID:KVl4xPzy
シグマパワー計画を国が全力で叩き潰した日本が何を今さら世界のトップ面www
8 :
名刺は切らしておりまして:2008/10/04(土) 03:19:09 ID:hmctn8FR
WBSで見たな
技術者が他国の発電所行って無駄を指摘してるの
9 :
名刺は切らしておりまして:2008/10/04(土) 10:03:04 ID:ZgYHTFHj
>>7 そりゃ電源のベストミックスを考慮しないで、コストが安いという理由だけで
石炭火力が大量に増えたら、エネルギー政策上まずいからねぇ。
10 :
名刺は切らしておりまして:2008/10/05(日) 04:35:45 ID:fflDd7B/
l
シグマパワーは日本に一基、最先端石炭発電所を作り、それをオーストラリアなどの石炭発電王国に売り込もうと
いう東芝、宇部興産、オリックスの目論見があったが、国がNOをつきつけ計画撤回。
そしてオーストラリアのリプレース案件は予想通りドイツを初めとするヨーロッパ連合が落札。正直、日本人の
トップはおバカすぎだ。
ちなみに日本には最先端化されてない石炭発電所がまだあるんだけどな。福島とか。
12 :
名刺は切らしておりまして:2008/10/06(月) 06:53:12 ID:Gbvtc7pW
13 :
名刺は切らしておりまして:2008/10/06(月) 11:30:40 ID:ByUUCj9A
石炭火力の排気ガスからは原発を大幅に上回る量の放射性物質がまき散らされてることには
触れないんだね
14 :
名刺は切らしておりまして:2008/10/07(火) 23:03:02 ID:l3jtuucT
なにをいまさら
15 :
名刺は切らしておりまして:2008/10/09(木) 06:56:57 ID:+PRvUdcJ
これからは石炭の時代だ
16 :
名刺は切らしておりまして:
もう薪にしようぜ