企業が早期・希望退職を募る動きが加速している。今年に入って上場企業が公表した分
だけで、少なくとも45社が計約5000人の退職募集に踏み切った。不動産・建設や金融など、
米金融不安の影響が大きい業界が目立つ。30日発表された8月の完全失業率(季節調整値)も
前月を0.2ポイント上回る4.2%に悪化。景気後退による雇用への影響が広がってきた。
上場企業の公表分に限れば、前年同期では今年を上回る49社が計7000人規模の希望・早期
退職を募ったが、うち約2000人は改正貸金業法への対応で態勢を大幅縮小した消費者金融など。
海外展開を進めるメーカーなどが、業績に余裕があるうちに国内社員の転職を促す動きも
目立った。
これに対し今年は、「業績悪化を背景にした募集が多い」(東京商工リサーチ)。上場企業の
子会社や非上場企業での非公表の人員削減も広がっており、「実質的にリストラは増勢にある」
(同社)との見方が強い。
不動産・建設では今年、奥村組が560人、創建ホームズ(のちに民事再生法申請)が100人など、
上場17社が計2600人規模の募集をした。米金融不安の余波で不動産市況は急激に悪化しており、
今後も大規模な人員削減が進む可能性がある。
サブプライム問題が直撃した金融業では、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ証券で、
約200人が6月に希望退職。経営再建中の新銀行東京は100人規模の退職者を募った。
地域金融機関でも人員削減の動きがある。
外資系金融機関でもリストラが広がる。金融人材サービスのエグゼクティブ・サーチ・
パートナーズは、8月末までの1年間に外資系金融機関でリストラされた人数が、総従業員数の
4%の約1100人に上ると推計。その後も米金融危機は深刻化しており、小溝勝信代表は
「さらに1000人規模で職を失う人が出るのではないか」と見る。
政府の労働経済動向調査によると、4〜6月に人員削減や残業規制などの雇用調整をした
企業の割合は14%で、前年同期比2ポイント上昇した。
一方、退職者の受け皿となる再就職支援サービスは活況の兆しを見せる。
大手の日本ドレーク・ビーム・モリンは4〜9月、退職者の受け入れが前年より3割増え、
「今後も忙しい状況が続く」(米田洋社長)と予測。業界全体の市場規模も5年ぶりに拡大に
転じる見通しだ。
日本総合研究所の山田久・主席研究員は「企業が正社員を削減しているのは、景気の
先行きを悲観して、成長への期待がしぼんでいるためだ。業況が悪化した中小企業を中心に、
今後も人員削減の動きが広がる可能性が高い」と指摘する。(江渕崇)
▽News Source asahi.com 2008年10月1日2時5分
http://www.asahi.com/business/update/1001/TKY200809300424.html http://www.asahi.com/business/update/1001/TKY200809300424_01.html ▽関連
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