三菱UFJフィナンシャル・グループと米モルガン・スタンレーは29日夜、三菱UFJがMスタンレーに
総額90億ドル(約9540億円、1ドル=106円換算)を出資することで最終合意したと発表した。潜在
株式調整後の三菱UFJFGのMスタンレー株式の保有比率は21%になり、三菱UFJは事実上の筆頭
株主になる。両社は資本提携を機に、戦略的パートナーとして、企業金融や投資銀行業務、リテール
業務、資産運用業務などの業務面でも提携を検討する。
取得する株式の内訳は、普通株が1株当たり25.25ドルで約30億ドル(約3180億円)、転換権付き
永久優先株式が約60億ドル(約6360億円)。普通株の出資比率は9.9%になる。転換権付き永久優先
株式の引き受け価格は1株31.25ドルで、配当利回りは10%と高いが議決権はない。完全希薄後の
三菱UFJの出資比率は21%になる。強制転換条項は、1年後にMスタンレーの株価が転換価格(引き
受け価額)を150%を上回った場合としており、2年後以降も同じ条件とした。
三菱UFJFGは、Mスタンレーへの出資比率を20%に維持する権利を得るほか、10%を上回る場合は
取締役1人を派遣する権利を持つ。出資の具体的なタイミングは、米金融当局の認可を得てからだとして、
現段階では未定とした。両社は業務提携の具体的な戦略について、2009年6月30日をめどに検討する。
三菱UFJが開いた記者会見には、水野俊秀専務と平野信行取締役が出席。当初は引き受ける全株式を
普通株と予定していたものの、優先株を併用した理由について「リスクに対するセンシティビティを検証した
結果」とし、減損リスクを極力回避したと説明した。株価が下がれば優先株の価値も下がるが、平野取締役
は「(転換の)オプションバリューなどさまざまな条件によって変わるので一概に言えないが、優先株の減損
ポイントはかなり低い」と語った。
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