北陸の地場スーパーで、コンビニエンスストアやショッピングセンターなど流通大手の
営業方法を取り入れ、集客力を高めようとする動きが出てきた。営業時間を午前零時
まで延長し、ATMの設置や雑誌の取り扱いなどで「コンビニ化」を加速。異業種との複
合型店を展開する店もある。出店攻勢をかける大手に対し、各社は「本家」のお株を奪
う店舗運営で客を取り戻そうと必死だ。
ニュー三久(金沢市)は同市三口新町四丁目の三陽店で、コンビニを意識した店づく
りを進めている。営業は午前零時までとし、ATMも導入。従来はなかった雑誌の販売
を始め、酒類など飲料部門も強化、レジ前には菓子の新商品を並べた。
同社は「人件費が多少かかってもそれに見合う需要があると判断した。仕事帰りの会
社員や学生など、利用客は予想以上に多い」とする。同市伏見台二丁目の伏見台店で
も今月から営業時間を午前零時までに広げた。
大阪屋ショップ(富山市)も売り上げへの貢献を見込み、ATMの設置を進め、東京ス
トアー(金沢市)は学生の多い同市田上のフレッシュアリーナ田上店など一部店舗で午
前零時まで営業する。
地場スーパーが店舗運営の見直しを進めるのは、大手スーパーやコンビニへの客の
流出が止まらないためだ。
消費者の生活スタイルが多様化する中、コンビニのほか、イオン(千葉市)のマックス
バリュ、ジャスコをはじめとする大手スーパーは二十四時間営業の店舗や複合型店で
出店攻勢をかけ、地場スーパーの客足を鈍らせている。
また十月下旬には、かほく市でイオンかほくショッピングセンターが開業、今秋以降に
はコンビニ最大手のセブン―イレブンが北陸進出することもあり、地場スーパーの危機
感は一層高まっている。
こうした中、大手スーパーの強みである複合型の店舗を展開し、売り上げを伸ばす地
場スーパーもある。
昨年六月に開業した、小松市符津町にあるマルエー(白山市)の符津店。同社が一括
して借り受けた敷地内にビデオ・CDレンタルのゲオ、クスリのアオキ、衣料品のしまむら
などを併設する。「色んなニーズを持ったお客に足を運んでもらえる」(商品部担当者)の
が特長だ。
同店では大手でも取り扱いのないような地元メーカーの食品や産直生鮮品、無添加の
有機作物などをできる限り取り入れ、客足を伸ばしているという。
同社は来年四月をめどに、石川県野々市町でホームセンターのカーマ(愛知県刈谷市)
の店舗を併設した新規出店も計画している。
アルビス(射水市)は、子会社が開発した同市のショッピングモール「イータウン」で、直
営店と同じ敷地内にユニクロやヤマダ電機など十数店がテナントを構える。同社は、ス
ーパー単独では集客できない立地もあるとし「オーバーストアの状況の中、店舗を集積
することで、大手に対抗できる集客力がつく」としている。
地場スーパーのほとんどは「体力では大手に到底かなわない」(関係者)。その一方で
「地域のニーズを的確にとらえれば、商機は必ずある」との声もある。地場スーパーにと
っては、大手の成功スタイルを柔軟に取り入れ、これに地元ならではの小回りの利く商
品展開で違いを出すことが、スーパー戦国時代を生き抜く道のようだ。
ソース:北國新聞
http://www.hokkoku.co.jp/_keizai/K20080926301.htm