近畿のモモやブドウを翌日にアジアの食卓へ−。24時間体制になった関西国際空港
(大阪府)の深夜貨物便を活用し、近畿の果物などを収穫翌日に東アジア地域の小売店頭に
並べるモデル事業が7日、始まった。和歌山産の白桃5ケース(20キロ)が同日夜、
検疫と通関の手続きを受け、翌日未明の便で台湾へ。昼ごろには台北市内の小売店に並ぶ。
海外の富裕層の間では、日本の農産物は「安全で品質がよい」と人気といい、関係者は
「関空発の新鮮さは大きな売りになる」と期待。撤退や減便が相次ぐ関空にとっても新たな
活路となる可能性もある。
モデル事業は関西の産官学で構成する国際物流戦略チーム(本部長=下妻博・関西経済連合
会長)の提案で、国土交通省近畿運輸局が大阪税関や神戸植物防疫所、関空会社などと
連携して実施。白桃のほか、8日には大阪産の巨峰4ケース(12キロ)が香港に向けて輸出される。
近畿有数のモモの産地として知られる和歌山県紀の川市内の農家で7日、たわわに実った
みずみずしい白桃が収穫された。白桃はすぐにJA紀の里に持ち込まれた。国内ならば、
選定を経て翌日、各地の市場でせりにかけられるが、この日向かったのは関空で、午後7時ごろ
到着した。
通常、農産物を輸出する場合は市場でのせりの後、検疫と通関が行われ、昼ごろに日本を
出発。到着後も現地での検疫や通関、せりが行われ、店頭に並ぶのは収穫から3日目となる。
ところが、昨年7月に24時間空港となった関空は、深夜でも植物検疫や通関の手続きできる
ため、収穫した当日の夜でも発送が可能。しかも東アジア各国まで2〜3時間と近いため、
国内と変わらないスピードで消費者に届けられる。
同JA流通センターの江川宏樹主任(39)は「収穫から販売まで1日短縮されるのは大きい。
(国内外でライバル関係にある)山梨県産の白桃より、鮮度が誇れるのは大きな強み」と話す。
同JAでは昨年から台湾への白桃輸出を手がけており、大玉なら国内の4倍近い1個700〜1000円
程度で売れるという。今年は同流通センターだけで昨年の倍に相当する約12トンを出荷した。
また、大阪府は昨年7月、輸出促進のためシンガポールと香港で、水ナスや巨峰、モモなど
大阪産の農産物を試験販売したところ、好評で、巨峰は国内の倍近い1パック1000円前後でも
飛ぶように売れたという。
運輸局は「日本の食材は輸送費を加えると海外で4〜5倍になるが、経済成長の著しい
中国などの富裕層にとってはブランドになっている。輸送の効率化を図って関空の利点を
生かせば、新鮮な関西の農産物を安定的に輸出できるはず」としている。
▽News Source MSN産経ニュース 2008年8月7日22時30分
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080807/biz0808072231014-n1.htm http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080807/biz0808072231014-n2.htm ▽関連
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