「ボージョレ・ヌーボーはまだ先。馬の方は、インフルエンザの影響で、ぴたりと動きが
止まってしまいました」
ワインと馬--新千歳空港の輸入貨物で、一度に70トン以上がチャーター便で運ばれて
くる双璧(そうへき)だ。
国際航空貨物を取り扱う札幌国際エアカーゴターミナル(SIACT)の藤澤博常務に
よると、競走馬の産地に近い新千歳と欧米との間で年4、5回はチャーター機が行き来
するが、道内の馬産地で4月にあった馬インフル騒動で滞っている。
今のところチャーター便は、秋に道内で開催される世界ラリー選手権の直前に、
オフロード車が大挙運び込まれる予定があるくらい。長年の懸案の国際貨物の定期便は、
まだ就航していない。
新千歳空港が開港する前年の87年、道は新長期総合計画の戦略プロジェクトとして
「国際エアカーゴ基地」構想を打ち出した。日本の国際貨物量が21世紀初めには
300万トンに達すると予想し、うち80万トンを新千歳で分担しようという壮大な構想
だった。
それは「24時間運用」の実現が構想の大前提だった。最大のライバルと目された
関西空港の開港3カ月前の94年6月、「深夜・早朝6便枠」がスタート。ところが
この発着枠も、フルに活用するような需要がなく、工業地帯が控える関空、
中部の後発組の空港に追い抜かれてしまう。
06年の国際貨物の取扱量は、関空が76万トン、05年2月に開港した中部空港が
25万トン。一方、新千歳は4400トンにとどまる。しかも輸出の半分以上は、新千歳
から陸送されてほかの空港に入り、そこから出ていく「保税運送」の分が含まれている。
道は現在、新千歳の「国際拠点空港」化を目指すとしている。ただ、国際貨物の現状を
どうテコ入れしていくかという青写真は見えない。
空港を核にビジネスゾーンの形成を目指す「エアロポリス構想」を策定した山村悦夫・
北大名誉教授(66)は「新千歳はこれから、旅客機の下部貨物室で扱うベリー貨物に
活路を見いだすしかない。旅客機の『おなか』には、預かり手荷物以外に30トンの
貨物が積める余地がある」と言う。
新千歳は、乗降客数では全国3位の実績があり、「ベリー貨物」は有効な手だてとみる。
「格安でも空席よりは人を乗せた方がいいのと同じ発想で、積み込む荷物があれば、
航空会社も喜んで安くしてくれる。道が荷主を集めてPRすれば、必ずしも夜間に貨物機を
飛ばさなければならないことはない」
ソースは
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000807220004 依頼を受けてたてました。