【鉄道】首都圏 JR中央線高速化 険しい道のり
ttp://www.2nn.jp/moeplus/1210683486/ 甲府―新宿間を特急で1時間、新宿に朝8時着――。
JR中央線の高速化と利便性向上を目指し、
1月に山梨、長野両県と甲府市をはじめ沿線50市町村などが
「中央東線高速化促進広域期成同盟会」(会長・横内知事)を発足させた。
しかし、実現には課題が山積しており、道のりは険しい。
■効果と壁 全国の都道府県で、新幹線駅も空港もないのは、山梨県のほか、
茨城、三重、奈良県のみ(茨城県は2010年春に茨城空港が開業予定)。
高速の交通手段に恵まれない山梨県にとって、中央線の高速化は、
沿線自治体の活性化の起爆剤として約10年前から懸案とされてきた。
現在、中央線の新宿―甲府間(123・8キロ)の最短所要時間は、
特急「スーパーあずさ」の1時間23分。ほぼ同距離の在来線で比較すると、
常磐線の上野―水戸間(117・5キロ)では、特急「スーパーひたち」が1時間5分で走る。
県商工会連合会は「1時間に短縮すれば、甲府は東京の通勤圏になったという
イメージがぐっと高まる。観光客の増加も見込める」と強調する。
しかしスピードアップには多くの難題がある。
第一は、山岳区間が多い路線の特徴だ。高尾―塩山間では、桂川の谷あいを走り、
いくつものトンネルを抜ける。関東平野のまっただ中を走る常磐線と異なり、高速化の壁となっている。
県は1998年の調査で、新宿―甲府間を1時間10分で結ぶためには、カーブ90か所、
トンネル計15キロ分の改良工事などが必要で、事業費は総額2330億円と試算した。
さらに、これには、最高速度160キロの車両の開発が前提となっている。
JR東日本広報部は「工事費や新型車両の開発には多額の費用がかかる。
JR単独での事業化は難しい」と、難色を示す。
■朝の利便性 毎月、出張で都内に通う甲府市の営業職の男性会社員(47)は
「東京で朝10時開始の会議に出席するとき、特急だと間に合うか不安」と話し、
前泊することもあるという。
特急「かいじ」の上り始発は甲府駅を午前7時8分に発車、新宿着は9時8分。
乗り継ぎ時間を考えると、場所によっては都内でも10時着は微妙。
上野に午前7時24分に到着する特急が走る常磐線とは対照的だ。
同盟会は新宿午前8時着の特急を新設するようJR東日本に求めているが、
都内を走る午前7時台は中央線の高尾以東が通勤ラッシュの時間帯。
同社は「通勤電車の削減が必要となり、現状では難しい」と話す。
では、「新宿―甲府1時間」は夢物語に過ぎないのか。
同盟会は1月末、JR東日本に要望書を提出したが、
同社は「互いに勉強を進めていきたい」と回答するにとどまっている。
高速交通機関では、リニア中央新幹線が2025年に営業運転開始が見込まれている。
しかし、駅の誘致問題など、県民にとっては不透明な部分が多い。
甲府市の担当者は「現状は八方ふさがりだが、高速化への財政支援を国に求めるなど、
粘り強くやるしかない」と話している。
読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamanashi/news/20080513-OYT8T00017.htm http://www.yomiuri.co.jp/photo/20080513-2412404-1-L.jpg http://www.yomiuri.co.jp/photo/20080513-2412397-1-L.jpg