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[東京 30日 ロイター] 個人投資家の外債ファンド志向が鮮明になっている。
投資信託情報サービス会社のリッパーのデータによると、米サブプライムローン(信用力の
低い借り手向け住宅融資)問題が深刻化する昨年8月までは、世界の株式に投資する投信への
資金流入が顕著だったが、8月以降は世界の債券に投資するファンドへの資金流入が加速した。
サブプライム問題に端を発した金融市場の混乱で投資家のリスク許容度が低下したほか、
定期分配型ファンドを好む高齢層が「昨年後半から分配金が減少した株式型ではなく、
分配金の推移が安定している外債ファンドを好む傾向が一層強まった」(ドイチェ・
アセット・マネジメントのファイナンシャル・ストラテジスト、藤原延介氏)とみられる。
野村総合研究所の追加型投信資金動向データによれば、6月も26日までの累計で流入超
なのは海外債券型のみで、国内株式、海外株式、国内債券、国内ハイブリッド、
海外ハイブリッド型すべてが流出超となっており「安定的な運用資産とみなされる
外債ファンド偏重の投資姿勢が当面続く」(大手証券)と見る向きが多い。
<不動産型グローバルが資金純流出額トップ>
リッパーによると、ETF(上場投資信託)を除く国内籍追加型投信の資金純流入額
(設定額から解約額を引いた金額)は、昨年7月末までの10カ月間では
14兆2282億円だったが、8月以降の10カ月間では5兆5695億円と6割減となり、
資金流入に急ブレーキがかかった。
分類別の資金フローをみると、昨年年央まで多額の資金が流入していた海外株式に投資する
ファンドや、株式やREIT(不動産投資信託)など世界の複数資産に分散投資する
ファンドは8月以降に急速に資金流入が細り、代わりに世界の債券に投資するファンドへの
資金流入が加速した。
06年10月-07年7月では、「株式型グローバル」が3兆2258億円の流入超で、
リッパー分類別の純流入額で最大だった。07年8月-08年5月では同分類の純流入額は
951億円に急激に鈍化し、代わりに「債券型グローバル」が分類別で最大の
1兆8605億円の流入超を記録した。
8月以降の純流入額2位は「債券型グローバル短期債」の1兆0526億円、
3位は「債券型エマージンググローバル」の6349億円で、世界の債券に投資する
ファンドが上位を独占した。「相場が荒れ、落ち着きどころがつかめない不安定な環境の
なかで、安定的な配当を見込め、基準価格のブレが株式に比べて少ない債券型ファンドが
好まれている」(大和証券)という。
一方、昨年7月までの10カ月で資金の純流出額が最大だったのは「株式型日本株」の
1兆1015億円。昨年8月以降の10カ月では「不動産型グローバル」の3289億円
が純流出額トップで、「債券型米ドル」の1582億円、「株式型アジアパシフィック
(除く日本)」の1279億円が続いた。「パフォーマンスが悪化した米ドル資産、
アジア株、REITなどで損切りと利食いの売りが増えた」(ドイチェの藤原氏)ことが
背景とみられる。
続きます。ソースは
http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPnTK014661220080630