豚肉と鶏肉が大幅に値上がりしている。中国やインドといった新興国の発展で穀物が高騰し、
配合飼料も急激に値上がりしているためだ。BSE(牛海綿状脳症)騒動で牛肉の代わりに豚肉と
鶏肉を求める日本の消費者の志向も、価格を押し上げる。高級豚肉の人気も根強く、当面は
高止まりが続きそうだ。【田畑悦郎】
◇高級品も人気
豚ロース肉の小売価格(全国平均)は6月第1週(2〜6日)に100g255円をつけ、農林水産省が
調査を開始した03年以来の最高値を更新した。2月に豚ロースを100g当たり10円高の258円に
値上げした食品スーパー、サミットの精肉担当者は「問屋から値上げ要請があり、周りの店の
価格を見ながら決めた」と話す。
豚肉人気は牛肉を敬遠する家庭が多いことを反映している面もあり、1世帯当たりの
年間豚肉購入額はBSE問題のさなかだった01年に初めて牛肉を逆転。この7年間、牛肉を上回り
続けている。総務省の07年家計調査によると、牛肉購入額は前年比ほぼ横ばいの2万868円なのに
対し、豚肉は同2.8%増の2万3923円、鶏肉は同3.9%増の1万1295円。食肉会社エスフーズの
富沢進専務は「焼き肉店は数が2割近く減り、豚肉をメニューに加えたところが増えた」と話す。
「銘柄豚」と呼ばれる高級豚肉の人気も高い。山形県産の金華豚のロースの店頭価格は100g
1200〜1300円と高級牛肉並みだが、「売れ行き好調で品薄状態」(高島屋)。東京都が品種改良で
開発した「TOKYO X」のロースも同350〜400円と高いが、07年度の出荷量は00年度の3.7倍だ。
金華豚を生産する平田牧場(山形県酒田市)の高瀬周・企画広報課長は「消費者は安心感がある
国産を好む」とみている。
◇牛は国産安、米産高
鳥インフルエンザと中国製冷凍ギョーザ事件の影響で、中国からの焼き鳥など半加工品の
輸入が減っている鶏肉も国産の需要が急増、卸売価格は昨年に比べ約2割高だ。持ち帰り弁当
大手のオリジン東秀は4月末、「若鶏の唐揚げ」を約13%高の100g178円に値上げ。
コープネット事業連合(本部・さいたま市)も2月、鶏もも肉の小売価格を100g当たり10円高の
128円に引き上げた。
一方、牛肉はBSEと豚鶏人気の影響で需要も価格も落ち込み、国産ロースの平均小売価格は
07年2月の100g718円から直近は705円に下がった。ただ、米国産牛肉の仕入れ価格は、BSE対策の
月齢制限で仕分けコストがかさむため輸入禁止前の2倍以上だ。米国産を使う吉野家の
牛丼「並盛」は380円と、輸入禁止前の280円より約35%高くなった。
▽News Source 毎日jp 毎日新聞 2008年6月13日23時00分
http://mainichi.jp/life/money/news/20080614k0000m020113000c.html