東芝は、消費電力が少なく次世代の照明として期待されるLED(発光ダイオード)事業を
強化し、20年度に年間売上高で1兆円を目指す方針だ。技術開発で生産コストを下げ、
家庭用への普及を急ぐ。海外でも販売する。白熱電球や蛍光灯からの置き換えで、
温室効果ガスの排出削減にも貢献できるとしている。
LEDは、軽量で衝撃に強い特徴をいかし、信号機や電光掲示板、自動車のブレーキランプ
などに使われている。照明器具としても東芝グループやオランダ・フィリップスが実用化
しているが、光量が弱くサイズが大きくなることや、価格が白熱電球の数十倍と高いため、
普及していない。ただ、白熱電球と比べて消費電力が7分の1で、寿命も長い。
米調査会社などによると、世界の照明市場は年間約9兆円で、LEDはこのうち3000億円程度。
20年度には市場全体が15兆〜17兆円に伸び、LEDを中心とした「新照明」が5兆円を占めるという。
東芝はこの時点で2割のシェアを獲得する計画だ。既に一部でLED事業を手がけているが、
家庭用を中心に未開拓の照明事業を中心にすえる。
西田厚聡社長は「25年度には世界の照明の6割がLEDに置き換わる。事業をグローバルに
展開したい」としている。東芝は、白熱電球や、より消費電力が少ない蛍光灯を手がけているが、
年間売上高は350億円程度。グループ企業が手がける家庭用白熱電球の生産を10年中にやめる
方針を公表済みで、当面は電球型蛍光灯への転換を進めるが、LED事業に投資を集中させていく
考えだ。
最大の課題である生産コストの削減では、半導体など関連する各事業を横断する専門部署を
4月に設けており、技術開発に拍車をかける。現在はグループ企業の長井工場(山形県長井市)
などでLEDを生産しているが、海外も含めて生産拠点を増やすとみられる。
東芝は、LED事業を計画通りに拡大できた場合、25年度時点で年間2510万トンの温室効果ガス
削減に貢献できる、と試算している。原子力発電所の建設なども含めると、削減量は
年1億2000万トンに達するという。(湯地正裕)
▽News Source asahi.com 2008年6月13日3時4分
http://www.asahi.com/business/update/0613/TKY200806120323.html ▽東芝 株価 [適時開示速報]
http://www.toshiba.co.jp/ http://company.nikkei.co.jp/index.aspx?scode=6502 http://smartchart.nikkei.co.jp/smartchart.aspx?Scode=6502.1