【食材ニッポン】ブート・ジョロキア 激辛人気支える
スナック菓子や即席めんなどを中心に、人気が続いている激辛味。ヒリヒリする辛さは痛さに似た
刺激があり、慣れると、さらなる辛さを求めたくなる。
この激辛人気を支える香辛料が、トウガラシ(ナス科)。原産地の中南米では、数百万種類も
栽培されているという。
なかでも、世界一辛いトウガラシとして2006年9月、ギネスブックに認定されたのがインド産の
「ブート・ジョロキア」。この名は、幽霊のトウガラシを意味し、魂が抜けるほど辛いことを指す。
「手で触っただけで痛いんですよ。まして、粉末や加熱して気体になったものが目にでも入ったら
大騒ぎになる」というのは、東ハト(東京都豊島区)のマーケティング本部商品開発部の大洞
(おおぼら)篤さん。
同社は、ブート・ジョロキアを使ったスナック菓子「大魔王ジョロキア」を昨年10月、それにアジア産の
トウガラシ「プリッキーヌ」を加えた「大魔王ジョロキア&鬼姫プリッキーヌ」を今年4月に発売。ともに、
目標以上に売り上げている。
同社は、ブート・ジョロキアを原料に商品化した先駆け。ギネス認定を知った昨年1月、同社関係者が
インドに行き、原料として調達する上で検査基準がクリアできるか、収穫数が確保できるかを調査。
その確認後、商品開発したという。
「加熱して気体になると周りにいるスタッフまで目を痛めてしまう。そのため、皆がいないとき、開発
スタッフがゴーグルとマスクと手袋をして、ブート・ジョロキアの商品化に挑みました」と大洞さんは
振り返る。
その辛さはタバスコの20倍以上。唐辛子の辛さを示す単位「スコヴィル値」によると、赤唐辛子が
1万5000〜3万度、タバスコが3万〜5万度、ハバネロが30万度、ブート・ジョロキアが100万度と
なっている。
もともと同社は、ブート・ジョロキアの辛さが確認されるまでギネス認定されていたメキシコ産の
トウガラシ「ハバネロ」を使ったスナック菓子「暴君ハバネロ」を03年から発売していた。
当時、その辛さが珍しく、生産が追いつかないほど人気商品となり、他社もハバネロを使った商品で
追随した経緯がある。現在は、ブート・ジョロキアを原料にした商品開発が各社で始まっている。
ブート・ジョロキアを栽培するインドの農園はギネス認定後、注文が殺到、栽培量は10倍に
伸びているほどだ。
トウガラシは、単に辛いだけではなく、カプサイシンといって体の余分な脂肪を燃焼させる効果もある。
過熱する激辛人気。高まるニーズを、ブート・ジョロキアは今後も支えていくことだろう。(堀口葉子)
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【用語解説】ブート・ジョロキア
2005年、米ニューメキシコ州立大学トウガラシ研究所のポール・ボスランド名誉教授が、スコヴィル
値(唐辛子の辛さを示す単位)が100万1304であることを明らかにした。その結果、世界一辛い
唐辛子として06年9月、ギネスブックに認定されている。ボスランド名誉教授の大学での研究
プログラムは、「トウガラシの品種改良と遺伝学」。
FujiSankei Business i. 2008/5/28
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805280013a.nwc