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現在,多くの金融機関や大手IT企業などが,ノート・パソコン(ノートPC)の外部への
持ち出しを禁止している。外出時にノートPCを業務で使えないのは不便だが,
ノートPCの紛失による情報漏えい事故が多発しており,やむを得ない措置と言える。
しかし,3.5GサービスによってノートPCは形態を変え,再び外出時の業務端末として
活用できるようになりそうだ。
企業向けの観点からは二つのポイントがある。一つは3.5Gサービスを使ったノートPCを
端末に使う「モバイル・シン・クライアント」。もう一つは通信モジュールを内蔵する
ノートPC(図1)。いずれもノートPCからの情報漏えい対策や遠隔管理などの目的で
期待が高まる。
図1
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080430/300375/zu03.jpg 既に3.5Gサービスを使うモバイル・シン・クライアントが企業で利用され始めている。
イー・モバイルの鎌田浩彰 営業本部法人営業部長によると,「把握しているだけでも
イー・モバイルのHSDPAと組み合わせてシン・クライアントを導入する企業が5?社は
ある」という。例えば,日本総研ソリューションズは3月からイー・モバイルの
サービス経由でシン・クライアントを導入した。7月には400ユーザー規模になる。
■HSDPAが実現した携帯型シン・クライアント
HSDPAサービスなどのブロードバンド環境が利用できる場所であれば,
モバイル・シン・クライアントはどこででも使える。万が一,端末を紛失したとしても,
データはすべてサーバー側にあるので,情報漏えいは起こらない。ノートPCの利便性と
情報漏えい対策を両立したシステムと言える。
モバイル・シン・クライアントは,定額かつ1Mビット/秒以上の実効速度を期待できるから
こそ可能になった。シン・クライアントはサーバーとクライアントの間で画面イメージの
転送といったデータ通信を常時行う。低速でも利用はできるが,ストレスなく使うには
500k?kビット/秒の安定的な帯域は欲しいところだ。これまでのモバイル・データ通信
サービスではこの速度の実現が難しかった。
続きます。ソースは
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080430/300375/