宮城県は19日、名古屋市のホテルで、中京圏の自動車関連企業を誘致するため
県内の投資環境を説明する「企業立地セミナー in Nagoya」を開いた。
トヨタ自動車関連工場の相次ぐ宮城進出を受け、4年ぶりに名古屋で開催した。
デンソーやアイシン精機など自動車部品メーカー約150社が参加。
村井嘉浩知事は「宮城は高速道や港湾のインフラが整っている。東北全体から
人も集まり、人材確保がしやすい。皆さんが宮城県に来ていただけることを心待ちにしている」
とアピールした。
セミナー終了後には、宮城県産食材を提供する試食会も行われた。
県内市町村がそれぞれにパネルを展示し、企業立地優遇制度や工業団地、
住環境などについて説明した。
県内には2010年、トヨタ自動車東北(大和町)がエンジン工場を新設し、
トヨタ系の車体組み立てメーカー・セントラル自動車(神奈川県相模原市)が
本社・工場を大衡村に移転する。
■先行企業を援護射撃/首都圏から近い、人材供給で優位
自動車産業の集積を目指す宮城県が「トヨタの総本山」名古屋に乗り込んで開いた
19日の企業立地セミナーは、用意した250席がすべて埋まり、
新たな投資先「東北」に対する関心の高さをうかがわせた。
先行する進出企業も自治体の売り込みを援護射撃。
県や市町村は、交通インフラや首都圏からの近さ、人材面などで宮城の優位性をアピールした。
「完成車の生産能力が50万台規模となり、東北の自動車産業は未熟ながらも
確実に成長している」。2010年に宮城県大和町へエンジン工場を建設する
トヨタ自動車東北の杉山正美社長は、講演の中で東北の現状を冷静に説明した。
宮城県沖地震などのリスクについても杉山社長は「東海地震に比べれば予想される
マグニチュードは小さい。積雪によって生産休止になったこともない」と話し、
参加企業の懸念に答えた。
トヨタの鈴木輝男・ボデー部品調達部長は「東北は東海、北部九州に次ぐ第三の拠点。
コスト、品質面で競争力を持つため域内の調達基盤を整備することが重要」と、
現地調達率を向上させるための企業進出を呼び掛けた。
参加したトヨタ系の大手部品メーカー幹部は「完成車工場の誘致成功で勢いが出ている」
と指摘。豊田通商の幹部は「求人倍率が低く、人材供給力があるのは魅力」と評価した。
物流拠点の整備について今後、検討課題にするという。
地元側も受け入れ態勢の整備を急ぐ。東北電力宮城支店の坂本敏昭副支店長は
「確実に供給できるよう最大限努力する。多くの工場が集まり、結果として
電力使用量が増えれば喜ばしい」と話す。
高い関心をいかに誘致に結びつけていくかが県の課題だ。
村井嘉浩知事は「自動車関連でこれだけの企業が集まってくれた。今後もさまざまな
手法で県内立地を呼び掛ける」と話した。
ソース
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/05/20080520t11030.htm