【コラム】マニフェスト草案の季節、多様な改革案の可能性…ロバート・フェルドマン（モルガンスタンレー証券）[5/14]

＜ＣＲＩＣサイクルで危機局面にある日本＞
表面上、政策は行き詰まっているようである。「ねじれ」国会は日銀総裁、ガソリン税、
道路財源などの議論で効率が大きく落ちてきた。こうした中での世界経済情勢を受けて、
金融市場もいら立っている。しかし、このいら立ちはある意味で建設的な証拠であると思われる。

筆者の持論である「ＣＲＩＣサイクル」の枠の中で考えると、むしろ今のいら立ちが普通である。
「ＣＲＩＣサイクル」とは、経済と改革の絡み合いを解釈する分析手法で、危機、反応、改善、
怠慢の順で回る。人間、会社あるいは国家は、危機を直面して反応する。反応は危機を和らげ、
改善の時期をもたらす。残念ながら人間は安心すると怠ける傾向がある動物なので、改善後は
怠慢が発生する。怠慢の当然の結果は、再び危機に陥ることである。

現時点で、日本におけるこのサイクルは危機局面にある。株価がさえない。景気指標も
さえない。原油、農産物が急騰。米国景気が減速。サブプライムの信用不安が落ち着かない。
日本も米国も、政策まひ。まるで１９７４年に戻ったようだ。

だが、「ＣＲＩＣサイクル」の過去の動きを見ると、危機局面で企画された政策案は、次に来る
反応局面の青写真になる。９０年代に入って株価が下落した後に、宮沢喜一政権が財政
出動を展開した。景気がちょっと良くなった後で、怠慢になって、景気がまた悪化した。反面、
小泉純一郎政権の１年目は不良債権問題が改善せず、２００２年１０月に竹中プランができた。
その後、景気回復期間（ＣＲＩＣサイクル的に言うと「改善局面」）が長く続いた。

＜大胆な移民計画案にみる可能性＞
では、今はどうか、成長を刺激する提言は胎動しているだろうか。確かに、今の経済財政
諮問会議は小泉時代に比べて活気と影響力がない。だが、計画に関しては色々なよい
アイデアが作業部会から出ている。例えば、農業、労働、移民、金融制度に関する分野。
今の政治では、これらのアイデアがすぐ政策になり、法律化されることはなくても、
アイデアが出されたことは意味が大きい。いずれ今の危機局面が終わる。終わった段階で、
議論の残る提言は次の反応局面の原資になる。

自民党も民主党も、改革を協力したい人の間で新しいアイデアを出している。数週間前の
ことだが、中川秀直氏の朝食会で、筆者が椅子から落ちるほど驚きのアイデアが出た。
中川氏が「１０００万人移民計画」を提言したのである。労働力が足りなくなる中で、色々な
スキルの人を日本に招かないといかない、ということだ。移民に関して慎重な考え方の人でさえ、
１０００万人までいかなくても、少なくとも今のルールよりも高齢化日本のニーズに合う制度を
作る必要性を認めている。

>>2移行に続く

ロバート フェルドマン　モルガンスタンレー証券　経済調査部長
(１４日　東京）


(ソース)http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPnTK010830720080514

>>1の続き
＜多彩な改革案の提言、次期総選挙のマニフェストの素材に＞
今こそ、具体案を出す時期だ。筆者のリストには色々と載っている。「移民学校」はその１つで
ある。すなわち厚生労働省、法務省、経済産業省、文部科学省が協力しないといけないが、
日本が必要とするスキルを教える、日本語を教える専門学校を海外で作る、卒業する人は
日本に移民する権利を自動的に与えるといったものである。

教育問題だが、教師の数が減っている中で、教育の資本装備率を上げないといけない。最近の
英語教育ソフトはゲームのようで非常に効果的である。このソフトを利用して教育の資本
集約率を上げるべきだ。ところで、英語教育も小学校１年生から、にすべきだと思う。

農地売買の自由化。ＥＵ（欧州連合）とのオープンスカイ。政府系ファンドの設立。政府人事権の
中央化、出先機関の統廃合、年功序列賃金を４０歳で止める、金庫株の制限、会計基準の
国際収れん、参議院議席をドント式で再配分、国税庁を財務省から切り離す、電子カルテの
徹底、記者クラブの廃止、日刊新聞法の廃止──と、絶えないリストである。

このようなアイデアが出れば出るほど、次期総選挙で各政党がマニフェストを作る材料になる
可能性が増え、マニフェストを評価する材料にもなる。良いアイデアの密度で金融市場の
将来も決まる。日本が満ち潮に乗るか、浅瀬に居座るかが決まる。やはり、反応局面が大事だ。

移民と英語は反対だな。

英語教育は中学から徹底的にやれ。
小学校では読み書きだけでなく話すをやれ

WBSに出てる工作員か