子育て家庭を地域全体で支援する県の今年度の新事業「みやぎっこ子育て家庭応援事業」の
協賛店の募集が、締め切りの30日を目前に、目標の2000店舗に対しわずか60店舗の
登録申請にとどまっている。
県子ども家庭課は原因を「PR不足」と分析しつつ「社会全体で子育てを支える機運を高めてほしい」
と呼びかけている。
事業は、15歳以下の子供か妊娠中の女性がいる県内の21万世帯が対象で、
専用の「応援カード」を協賛店で提示すると、さまざまなサービスを受けられる仕組み。
予算に約440万円を計上、第1次募集締め切りは30日で、6月スタートを予定している。
優待サービスの内容は各店が自由に設定。既に実施中のものでもよく、
同課は▽授乳室や託児室の設置▽商品の値引き▽紙オムツやおもちゃのプレゼント
▽ポイントカードのポイント割り増し−−などを想定している。
一方、店舗側のメリットは、店頭にステッカーを張ったり県のホームページに企業名が
掲載されるなどの宣伝効果。県は「子育てに熱心な店としてイメージアップが期待できる」と強調する。
同課によると、同様の優待サービスは35都道府県にあり、福島県の「子育て応援パスポート事業」は
3089店舗が参加している。
しかし17日現在、宮城県に協賛店の登録申請をしているのは約60店舗。
うち約55店舗は、「蔵王町スタンプ会」(尾関定法会長)の加盟店舗による一括申請だという。
スタンプ会は現在、100円購入ごとに1ポイントが還元されるポイントシステムを実施。
応援カード所持者へはポイント割り増しなどの優待サービスを検討している。
会を挙げて取り組んだ狙いについて、同会が所属する蔵王町商工会の佐藤澄夫事務局長は
「町は過疎化が進み、買い物は車で行ける大河原町の大型店舗などに流れてしまう。まずは若い世代や
子どもにも地元で買い物をしてもらうことで、最終的には地域全体の活性化を目指したい」と説明する。
同会の尾関会長によると、会の売り上げは最盛期だった約30年前に比べ6分の1にまで激減。
100以上あった加盟店舗数もほぼ半減した。子供が歩く姿もめっきり見なくなったという。
「会として事業に取り組むことを決めた以上、県には、ステッカーやカードを作る予算を無駄にしないよう、
周知に取り組んでほしい」とくぎを刺す。
一方、県は商工会議所や各業種団体などにパンフレットを配布してPR。
今月に入り「実施済みのサービスでも大丈夫か」など問い合わせは入るようになったものの、
認知度は依然低いままだ。
今後はコンビニエンスストアやファミリーレストランなどの大手チェーンに直接出向いて協力を要請するという。
同課の小林信行課長は「行政だけでなく、企業や住民など地域ぐるみで機運を作るきっかけにしたい」と呼びかけている。
子育て支援策に詳しい東北大大学院教育学研究科の加藤道代准教授(社会心理学)は
「実質的に経済面で子育てが楽になるという側面よりも、社会が一歩進むために、行政や企業が声を上げて
意識を高めていくという側面で意味がある」と話している。
ソース
http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20080421ddlk04010077000c.html