日銀は18日、支店長会議を開き、全国各地の景気情勢を分析した4月の「地域経済報告」を発表した。
企業収益の伸び悩みなどを背景に、全国9地域のうち、北海道を除く8地域の景気判断を
前回1月から下方修正した。前回の4地域から倍増した形で、景気減速が全国に広がっていることが
確認された。
総括判断も「足元の景気は、地域差はあるが、原材料価格高の影響などから全体として減速している」
と前回の「全体として緩やかな拡大基調」から引き下げ、「減速」の表現を盛り込んだ。
地域別では、景気判断が相対的に高い水準だった近畿と東海がともに下方修正された。
電機産業が集積する近畿は「北京五輪による家電需要も期待ほどではなく、生産は弱めの動き」
(鮫島正大・大阪支店長)という。
東海は景気をけん引してきた自動車産業を抱え、米国向けの輸出減を新興国向けで補っているが、
「生産は増えても、円高や原材料高で企業収益は圧迫されている」(早川英男・名古屋支店長)。
一方、これまでの景気拡大に出遅れていた地域も下方修正され、景気回復の実感がわかないまま
減速局面を迎えた。北海道は唯一、景気判断が据え置かれたが、すでに「やや弱めの動き」と
なっていたためだ。
また、道路特定財源の揮発油(ガソリン)税の暫定税率が期限切れとなった影響も出始めている。
上野正彦・札幌支店長は「北海道では道路工事がほとんど止まり、地元経済への影響は大きい」
と指摘した。
◇地方からは悲鳴
地方でも景況感の悪化が目立っている。
中小企業の集まる東大阪市。鍋の取っ手を製造する松田金属工業所の松田博之社長は
「材料のアルミなどが高騰し、パートの雇用調整などで赤字を出さないのがやっと」とこぼす。
「同業者が倒産し、競争相手が減って、製品への価格転嫁がある程度受け入れられるようになったので
まだマシだが……」という皮肉な事態だ。
トヨタ自動車の関連企業が集積する愛知県でも円高が逆風となっている。
豊田市の工具メーカー、富士精工。トヨタグループとの取引が6〜7割を占める。
森誠社長は「これだけ円高が進むとトヨタも設備投資計画を変更する」と取引の絞り込みを恐れる。
地方企業は人件費の安い中国メーカーなどとの厳しい競争にもさらされている。
北九州市の産業機械メーカー、石川鉄工所は「中国企業とのコスト競争は激しさを増している。不安だ」と打ち明ける。
ソース
http://mainichi.jp/life/money/news/20080419k0000m020077000c.html