全国的な医師・看護師不足が深刻化する中、県内病院で医療従事者の乳幼児を預かる
「院内保育」が増えている。安心して働ける環境を整え人材を確保しようというのが主な狙いで、
夜勤に備えて24時間保育の病院も多く、越谷市立病院は今月から、24時間、365日体制の
院内保育を始めた。院内保育は勤務先病院を選ぶ必須条件になりつつあるようだ。 (高橋恒夫)
県医療整備課によると、国などから院内保育に補助金を受けている病院は、1997年度に54施設
だったが、2004年度77施設、07年度93施設に拡大し、保育児童は計2196人に上る。
県は06年度から単独で補助事業を始めた。当時、県内全病院358施設を対象にアンケートを実施。
回答のあった213施設のうち院内保育を実施しているのは半数以上の110施設だった。
このうち26施設は補助金なしで実施していた。利用者は看護師が最も多く5割弱を占め、
医師も2割を超えた。24時間保育をしているのは110施設のうち7割以上だった。
公立では、さいたま市立病院が1977年にいち早く院内保育を始めた。最近まで夜間保育は
していなかったが、看護師らの要望を受けて2007年度から週1日、本年度からは平日の5日、
夜間保育の実施に踏み切った。同病院は「人材確保のために夜間保育をしないわけにはいかない」
という。
1994年から院内保育を始めた川口市立医療センターは、一年前までは看護師の子どもに限定
していたが、現在は医師や他の従事者の子どもも受け入れている。原則夕方までだが、夜間も
数を限って預かっており、実質的には24時間保育で、本年度の院内保育の人件費は約5000万円。
春日部市立病院も今月から試行的に平日昼間の院内保育を始め、順次拡大していくという。
越谷市立病院は約1900万円かけて病院内を改修し、今月から認可外保育施設を開設した。
運営を民間業者に委託して、ゼロ歳児から小学校就学前児童までを勤務時間に合わせて
預かるほか、2時間を限度に延長保育や一時保育なども行う。
利用者の1人は「4月から働いているが、院内保育が就職の決め手になった」と話し、復職した
職員もいるという。
県医療整備課は「院内保育は夜勤もある看護師には必要で、少子化対策の一環でもある。
人材確保の“売り”になり、増加傾向にある」と現状を話す。
▽News Source TOKYO Web 東京新聞 2008年4月11日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20080411/CK2008041102002820.html ▽越谷市立病院
http://www.mhp.koshigaya.saitama.jp/