造船・重機大手「IHI」(旧石川島播磨重工業、東京都江東区)の巨額損失問題で、
証券取引等監視委員会が証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の疑いで
調査を始めたことが分かった。
経理書類を任意提出させるとともに担当者から事情聴取している。
調査には少なくとも数カ月を要する見通しで、約16億円と過去最高額の課徴金を勧告する公算が大きい。
調査の対象は(1)連結営業利益約10億円を計上した06年9月期の半期報告書
(2)連結営業利益約246億円を計上した07年3月期の有価証券報告書。
同社は昨年12月「計上すべきコストが含まれていなかった」などとして
(1)を営業損失約87億円(2)を同約56億円とする訂正報告書を提出した。
証券監視委は訂正幅が大きいうえ、赤字決算を黒字として公表した事実を重視。
「証券市場に重大な影響を与えた」として調査を開始した。
07年1〜2月(1)に基づいて新株約639億円、同6月に社債300億円を発行しているため
「いつ決算の誤りに気づいたか」を焦点に調査を進めているとみられる。
虚偽と知りつつ新株と社債を発行していた場合、悪質性から刑事事件化する可能性がある。
しかし、証券監視委は「社債発行後にミスに気づいた」との見方を強めている。
ただ結果的に虚偽の決算書類を提出すれば、修正幅が大きい場合課徴金を科される。
増資額や時価総額などを基に算出する課徴金の総額は約16億円となり、これまで最高だった
日興コーディアルグループの5億円(07年1月納付命令)を大幅に上回る見通しだ。
損失の大部分を生み出した当時のエネルギー事業本部長(07年12月末に取締役兼執行役員を辞任)は
毎日新聞の取材に「業績悪化の可能性を認識したのは昨年7月下旬。損失額を把握できたのは8月で、
盆明けに社長に報告した」と説明している。
ソース
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080329dde001020026000c.html