電力と都市ガス需要の伸びが著しい。電力10社の2月の電力需要は前年同月比9・3%
増加し、東京ガスや大阪ガスなど都市ガス大手も軒並み10%前後伸び、2月単月としての
過去最高を更新した。
原油高の影響で店頭価格が前年に比べ3割上昇した灯油から、割引制度の設定などで消費者を
囲い込んだ電力や都市ガスに暖房需要がシフトしたためだ。今後も原油相場の高値が続けば、
冬場の需要期に灯油が他エネルギーの“草刈り場”となる可能性もある。
電気事業連合会(電事連)が19日発表した2月の電力需要は10社合計で
828億キロワット時となり2月単月の過去最高を更新した。伸長は7カ月連続で、
家庭用が中心の電灯は14・2%増の295億キロワット時で、2月としての過去最高を
塗り替えた。
都市ガス需要も好調だ。最大手の東京ガスの2月の販売量は15・6%増、大阪ガスも
9・3%増加した。うち家庭用は東京ガスが16・0%、大阪ガスが14・3%伸長した。
一方、灯油は厳しい。2月は前年が暖冬だった影響から出光興産など石油元売り会社の
販売量は前年同月比で10%超伸びたが、一昨年比では減少。電力は一昨年比でも8%、
都市ガスも大きく増加させている。
灯油苦戦の背景には価格競争力で優位性を失いつつあることがある。石油情報センター調べに
よれば、今年2月の灯油の全国平均店頭価格は1736円で、前年同月に比べ30%も値上がり
した。 灯油は調達費の上昇分が毎月の価格に反映するが、電力や都市ガスは上昇分を料金に
反映するのが6カ月後。この結果、灯油の価格競争力は相対的に薄れたわけだ。
さらに電力や都市ガスの割引制度の設定も需要シフトを促す。電力は家庭の熱源をすべて電気で
まかなう「オール電化住宅」向けに、都市ガスは熱電併給装置を設置した家庭に5%前後料金を
値引きする制度を設ける。こうした制度も寄与し、新規着工戸建て住宅にしめる
オール電化採用比率は中国電力や四国電力管内で7割を超えるなど普及が急速に進んできた。
電力と都市ガスの攻勢で今年度末までに2年連続で需要が減少する見通しの灯油は、
先行きも苦戦する可能性がある。
ソースは
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200803200015a.nwc 依頼を受けてたてました。