■インフラ整備大型プロジェクト実施
タイで先月発足したサマック新政権が、クーデター後の軍事政権下で停滞していた経済政策を
見直し、鉄道や港湾などインフラ整備の大型プロジェクト実現に向け、外資規制の解除に
乗りだした。ロイター通信などによると、タイ中央銀行は10日までに、バーツ高の抑制策
として導入していた外資規制を1年2カ月ぶりに全面解除した。政策の柱に景気回復を掲げる
新政権として、外資に再び門戸を開くメッセージと受け止められる。
■バーツは安定
タイ中銀は2006年9月のクーデター後、同年12月に、バーツに対する投機資金の流入を
阻止するため、外貨でバーツを購入する場合には資金の30%を中銀に預託することなどを
義務づける規制策を実施し、バーツ高の抑制を図っていた。
この外資規制では、1年以内に資金を引き揚げた場合に預託金の3分の1を没収する規定で、
同規制を嫌う外国人投資家らが資金を引き揚げたためタイの株式市場で暴落が発生。中銀が
規制の一部緩和として株の投資資金を対象外にするなどしたが批判が続いていた。
タリサ中銀総裁は昨年3月の時点で、「バーツが安定して投機的な動きにとっての抜け穴が
なくならない限り規制を解除する意思はない」とバーツ高の抑制に強い意志を示していた。
しかし民選首相としてサマック氏の政権が発足。タリサ総裁は改めて、「タイ経済は改善
されており、海外との資本の流入と流出の均衡が取れている」と説明し、規制を解除した。
タイ経済が昨年10月から景気回復の兆候を示していることや、通貨相場に関して
バーツだけが高騰する事態を抑制し経済への打撃を回避できるとの思惑も背景にある。
■流出促進策も
サマック政権は鉄道路線の拡充や港などインフラ整備の大型プロジェクトを実施する方針を
打ち出している。外資規制の前面解除に舵を切ることで、民間資本や民間投資案件を呼び込む
考え。
タイは規制解除に合わせ、証券会社や投資信託など金融機関による海外市場での運用総額を
300億ドル(約3兆300億円)まで認めるなどバーツ流出促進策も実施。バーツ高の
抑制も図る。
だが、外資側の受け止めは微妙な面もある。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によると、
今回の外資規制解除について「規制解除でバーツ高が進む」と指摘する市場関係者がいる一方、
「実質的には外資規制が従来も働いていなかった」として解除の影響は少ないとの見方もある。
当面はサマック新政権がさらに打ち出す経済政策を見極めたい、とする静観姿勢が主流と
なりそうだ。
ソースは
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200803110007a.nwc 依頼を受けてたてました。