セラヴィ観光汽船(四日市市)が伊勢―中部空港の航路断念に続き、
四日市―同空港の航路も譲渡計画を検討していることが7日、明らかになった。
四日市市は「運航を止めないよう、セラヴィと話し合いを続けている」と繰り返すが、
議会からは「運航に支障をきたせば、事業を推し進めてきた市長はどうするのか」と、
井上哲夫市長の責任を追及する動きも出てきた。
譲渡計画が報道された7日、同市経営企画部の武内彦司部長は
「セラヴィに色々な形での事業継続をお願いしており、手法は向こうの判断。
事業譲渡やスポンサー探しという選択肢もあるだろうと思う」と述べた。
ただ、同社へ確認の連絡をしたところ、幹部は「話は聞いてない」と回答したという。
市は週明けの予算特別委員会でセラヴィとの協議内容を説明する方針だ。
市は開会中の市議会定例会に提案している新年度の当初予算案に、
旅客ターミナルの維持費用など約7千万円を計上。
2月21日の本会議で、井上市長は「(セラヴィから)継続の意向を聞いている」と答弁。
市は原油高に苦しむ同社からの求めで、港のターミナル使用料1500万円の繰り延べなどの検討を始めていた。
こうした市の姿勢に、議会からは疑問の声が出ている。
ある市議は「バスなどの陸上交通には支援せず、海上交通にだけ支援するのはおかしい。
井上市長の責任も問われる」と指摘する。
空港への海上アクセスは、市の肝いりで進められた。
就航前、市は県の海上アクセス事業に応募したが、鉄道などとの競合を理由に選定されず、
市が単独で事業を進めた。しかし、運航業者が決まらないまま05年2月の中部空港の開港を迎えた。
その後、セラヴィが運航に名乗りを上げ、市は約4億円でターミナルを用意し、06年4月に就航した。
市は年間約20万人の利用を見込んでいたが、初年度は約17万4千人。今年度も約15万8千人にとどまる見込みだ。
燃料の高騰もあり、就航以来2年連続の赤字となる見込みだ。
議会からは「市の見込みが甘かったのではないか」との声もある。
◇◆伊勢市幹部「会社なくなるかも」◆◇
4月20日就航予定だった伊勢―中部空港間の「お伊勢サンライン」の就航が撤回された
伊勢市の幹部らは、四日市航路の事態に驚きながらも、冷静に受け止めている。
森下隆生市長は四日市航路の譲渡計画に「どこの会社が引き継ぐのだろうか」。
松井章・観光交通部長は「セラヴィ観光汽船という会社自体がなくなってしまう可能性もある。
市として損害賠償の請求を検討中だが、まずは抗議文を送るなりの対応を考えなくては」とした。
同市は、お伊勢サンライン就航に向け、6億4千万円を投じて同市下野町に建設中の
旅客ターミナルの利用法は宙に浮いたままだ。
森下市長は半年かけて別の運航会社を探す方針を市議会で表明している。
ソース
http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000000803080007