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鉄鉱石の価格急騰で、鉄鋼価格の上昇が避けられない見通しだ。中国を中心とした需要の
急拡大で、国際資本「金属資源メジャー」の発言力が増していることが背景。自動車や
家電といった最終製品にまで値上げの連鎖が広がる恐れもある。
■価格4.4倍
鉄鉱石を生産する英オーストラリア系の資源大手2社の統合計画も浮上。さらに価格上昇を
招く可能性があり、公正取引委員会も異例の調査に乗り出した。欧州連合(EU)などの
独占禁止当局に働き掛ける方針だ。
「鉄鉱石だけでも業界で約5000億円の負担増になる」(鉄鋼大手幹部)。
2008年度の鉄鉱石の価格交渉で、鉄鋼各社はブラジル資源大手バーレから前年度比
65%の値上げをのまされた。安定調達を優先したためだ。
鉄鉱石の価格は5年前に比べると4・4倍。各社は製品メーカーに対し1割以上の値上げを
要請する。トヨタ自動車は「コストアップを(車の)価格に転嫁するのは厳しい」と反発
するが、最終製品への価格転嫁がじわりと進みそうだ。
■重複する株主
追い打ちを掛けるのが、資源大手のBHPビリトンとリオ・ティントの統合計画。両社で
鉄鉱石の貿易量の世界シェアは4割弱、バーレを加えた3社で8割近くを占める。日本は
鉄鉱石輸入の6割をオーストラリア産に頼っており、経済産業省幹部は「寡占化が進めば
日本は一層不利になり、さらに価格高騰を招きかねない」と懸念する。
BHPは昨年、リオに買収を提案したが、リオ側が拒否。今年2月に買収条件を
1474億ドル(約15兆9000億円)に引き上げた。リオは、鉄鉱石や銅などの
価格が歴史的な高値圏で推移するとみて再び拒んだ。
ただ、両社の株主の多くが重複しており、BHPは株主の賛成は得られやすいとみる。
統合すれば、鉄鉱石のほか、銅やウランなど多くの鉱物資源で世界トップクラスの
巨大企業が誕生する。
続きます。ソースは
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200802280044a.nwc