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[東京 25日 ロイター] 電源開発(Jパワー)への出資拡大をめぐり、英ファンド
「ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)」と日本政府による綱引きが
続いている。
Jパワー株を9.9%を保有するTCIは先月15日、保有比率を高めるため、法律に基づき
日銀に事前申請したが、審査に当たる経済産業省など政府側は原則30日間の審査期間を
このほど延長。同省は国内電力網の重要設備を持つJパワーへの外資による出資拡大は
慎重に判断すべきとの姿勢を崩していない。
一方、TCIのアジア代表、ジョン・ホー氏はロイターに対し、今回の審査は「日本市場の
開放度を試す試金石」と強調し、認められなければ国内外での提訴も辞さない構えだ。
「公益」と「対日投資拡大」のどちらを優先するのか。政府は難しい判断を迫られている。
外国為替法では、外国資本が安全保障や公共秩序に関連する約20業種に10%以上出資する
場合、国の事前審査が必要で、TCIによる今回の投資計画は経産省と財務省が審査に当たる。
1)安全保障の確保、2)公の秩序の維持--を損なう恐れがある場合、政府は投資計画の
中止や変更を求めることができる。経産省は今月13日、審査期間を最長5月14日まで延長
することを決めた。
■経産省は警戒感、TCIは脅威否定
政府がTCIによる出資拡大に慎重になるのは、1)Jパワーが国内の重要な送電設備を
持っていること、2)東北電力に迫る大規模な発電能力を備えていること、3)青森県で
原子力発電所の建設計画を進めていること--が理由だ。とりわけ、本州と北海道、九州、
四国を結ぶ連係線と、東日本と西日本で異なる電気の周波数を変換し、広域の電力供給を
可能にする設備は「電力供給の危機管理という面で重要度が高い」(電力業界関係者)と
される。
TCIは昨年11月22日、Jパワーの業績が悪化しているなどとして、経営改善やホー氏など
TCI側からの2人の社外取締役派遣を要求。これが表面化した昨年12月4日、甘利明経産相は
記者会見で、Jパワーについて「日本の安全保障の網の中にある企業」と指摘、TCIの動きに
警戒感をにじませた。
TCIはJパワー株の追加取得分(10.1%)について、原子力発電と送電に関しては議決権を
行使しないと表明。ホー氏はロイターとのインタビューで、電力事業者の株主として
「あくまでも日本の規制の中で活動することが前提となる」と述べた上で、「安全保障と
公共の秩序でわれわれが脅威でないのは明らか」と訴えた。Jパワーへの株の買い増しは
「株価が非常に割安」(ホー氏)なのが理由で、「(Jパワーの)支配が目的ではない」
(同)としている。
続きます。ソースは
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-30481020080225