伊豆地区のタクシー会社で新料金体制が18日、導入された。しかし、実際に値上げに
踏み切ったのは半数の業者にとどまり、同一地域で複数の運賃が混在することになった。
国交省が運賃改定を公示した後、値上げ申請を取り下げる会社が相次いだ「全国的にも
珍しいケース」(中部運輸局静岡運輸支局)。基幹産業の観光業をはじめとした地域経済
の停滞と厳しい経営環境の狭間で、業者の対応がくっきりと分かれた。
伊豆半島を中心とした伊豆交通圏の29社、834台のうち、新しい運賃に移行したのは
14社、457台。運転手の労働条件改善のため、当初は20社が引き上げを申請したが、
1月下旬に中部運輸局が10・41%の値上げを公示した後、1社が追加申請する一方で
7社が方針転換した。
半数の業者が料金を据え置いた背景には、観光不振にあえぐ地域経済の現況に伴う売り上げ
の伸び悩みがある。静岡運輸支局によると、値上げの見送りは伊東市から下田市にかけての
東海岸で多かった。
公示後に申請を取り下げた下田市のタクシー会社は「毎月の利用者数は7-8%の
対前年割れが続いている。燃料高騰もあって経営は苦しいが、乗客の理解が得られないと
判断した」と話す。特に、利用頻度の高い高齢者ら地元住民は、少しでも安い会社を選ぶ
傾向が強いという。
一方、同じ南伊豆地区を営業拠点とする会社は乗務員の待遇改善を目的に値上げした。
「競争激化と利用減で給与が上がらない状態がずっと続いていた」と説明するが、「業者の
足並みがそろわず、据え置いた会社に客が流れてしまう可能性もある。給与は歩合制の
ため、売り上げが減っては逆効果だ」と危ぐする。
県タクシー協会伊東支部の7社はすべて申請を撤回し、現行運賃にとどめた。月数回利用
するという伊東市八幡野の男性(68)は「値上げは観光客よりはむしろ、病院通いで
利用する高齢者に影響を及ぼす。高齢化率が高い地域だけに、地元の業界は値上げに
踏み切れなかったのでは」と話している。
伊豆地区のタクシー運賃改定 燃料高騰や運転手の労働条件の改善要求を受け、
タクシー業者が値上げを申請。国交省中部運輸局が1月25日に公示、2月8日に正式認可
し、18日から実施された。
初乗り運賃(1.5キロまで)は小型車が620円から680円、中型車が630円から
690円となり、加算料金の距離も短縮。一方で、早朝予約料金は廃止、5000円を
超えると1割引になる遠距離割引も新設した。対象は沼津、熱海、伊豆の国市の一部と、
伊東、下田、伊豆市、賀茂郡。
ソースは
http://www.shizushin.com/local_social/20080219000000000009.htm 依頼を受けてたてました。