実際の経済というものは、「市場原理」だけで動くわけではない。ときには政治というもが決め手になる。
それを典型的に示しているのが、アラブ産油国による米金融機関の救済増資引き受け劇である。
このドラマは、米軍による重大な政治・軍事と同時並行して展開されている。
ドラマは、2007年8月の米サブプライムローン(低所得者向け高金利型住宅ローン)危機の
勃発(ぼっぱつ)を機に始まったドル暴落危機が主題である。米金融市場は揺れ、ドルが急落した。
ドル安は産油国の石油収入を実質的に減らし、ドル建てで決済される原油価格がいくら上昇しても、
ドルが暴落すれば意味がない。
さらに通貨バスケット制をとっているクウェートを除き、サウジアラビアをはじめとするアラブ産油国は
米ドルに自国通貨を連動させるペッグ制をとっている。
ドル安が進行すれば、自国通貨もユーロなどドル以外の通貨にも下落するので、各国はインフレに悩まされている。
各国内ではドル・ペッグ制を見直す機運が高まっていた。
■「攻撃示唆」の衝撃
11月19日にはリヤドで石油輸出国機構(OPEC首脳会議)が開かれ、すでに原油のドル決済を
ユーロ建て(日本向けには円建て)に切り替えたイラン代表が、各国に追随を呼びかけた。
ところが翌日はアラブ産油国はこぞって現行制度の維持を申し合わせた。
そのちょうど2日前には、クウェートから衝撃的なニュースが流れてきていた。
米国務省で中東問題のアドバイザーであるジョシュア・ムラブチク氏(アメリカンエンタープライズ研究所研究員)が講演し、
2008年前半にも米軍がイランの先制攻撃に踏み切ると警告、その前には米第5艦隊がペルシャ湾で
イラン攻撃を想定した演習を5日間にわたって展開していた。
米・イラン戦争は湾岸のアラブ諸国にとって致命的な打撃になりかねない。
ホルムズ海峡は封鎖され、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)など投資ブームにわく諸国は
「米国との同盟関係」を理由にイランから報復攻撃を受ける恐れがある。
UAEには40万人のイラン人が住み着いている。サウジアラビアでも反米ナショナリズムの底流が根強いことは
アルカーイダのウサマ・ビンラーディンが示す通りだ。
ドルこそは米国の国益を支える。ドルが世界の基軸通貨になれるのも、世界の最主力商品である石油がドル建てで
あることが根拠になっている。イラクのサダム・フセインが攻撃されたのは、石油をユーロ決済に転換したためとの
見方は産油国の間でも知られている。
アラブ産油国がイランに同調してドル離れに踏み切れば、米国の逆鱗(げきりん)に触れよう。
アラブはさらにドルを支える。
UAEの国家投資ファンドはリヤド会議の1週間後、サブプライム焦げ付きで苦境に陥った米銀最大手のシティグループの
救済増資に初めて応じた。
ソース(
>>2以下に続きます)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/117700/ 関連スレ
【金融】ドル支える「アラブ・中国コネクション」 [08/01/26]
http://news24.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1201433394/