不動産経済研究所(東京・新宿)が21日発表した近畿2府4県の2007年の
マンション販売戸数は前年比0.2%増の3万219戸だった。
ただ、発売月に契約できた率は68%とバブル崩壊直後並みの低水準。同研究所は
改正建築基準法による着工の遅れで08年はマンション販売戸数が17%減る見通しを
出しており、先行きに不透明感が広がっている。
土地価格や建設費の高騰で1戸当たりの平均販売価格は前年比で3%高い3478万円と
2年連続で上昇。高級物件の販売が多く1平方メートル当たり単価も5%高の47万円と
5年連続で上がった。ただ、契約率の悪化から販売在庫数は前年末比1098戸増の
5769戸だった。
同日発表した07年12月の近畿2府4県のマンション販売戸数は3カ月連続で減り、
前年同月比9%減の2894戸となった。
近畿地区は首都圏に比べて投資目的のマンション需要が小さく、需給の変動幅は緩やか。
だが、マンションでは確認審査から着工まで半年程度の時間差があり、石丸敏之同研究所
大阪事務所長は「改正建築基準法の影響で08年から供給量が大幅に減る可能性がある」と
指摘する。特に年数件しか手掛けない中小のマンション専業は法改正の影響が直撃する
可能性が高く、販売の落ち込みは避けられそうにない。
一方、マンション開発を手掛ける大手各社が「法改正の影響以上」と声をそろえるのが、
土地価格に資材や人件費を含めた建築費の高騰だ。販売価格への転嫁が難しい水準に
近づいているとの見方が広がってきた中、価格転嫁しやすい都心の開発用地は出物が減り、
郊外では建設費用を上乗せすると売り切れない物件が増えているという。
対策として大手各社では価格転嫁が可能な高級化路線と立地など条件のいい物件に
絞り込むという2面作戦が主流だ。大京は都心部で大型物件、郊外では駅近物件という
2つの軸で物件を選別している。
沿線外への拡大戦略をとっていた近鉄不動産は郊外の需要が低調とみて駅近、
沿線沿い開発に回帰。「早めに用地を仕入れ、利益が出る時期まで販売を延期したり、
販売期間を細かく分けたりする」(マンション事業本部の飯田忠篤・本店事業部長)
ことで市況に見合った販売戦略をとる。
昨年大阪市の中心部で開発した高層マンションの販売も好調だった大和ハウス工業は、
既に中心部の地価上昇が採算ラインを超えたと判断。今年は高層物件の供給計画はない。
郊外を中心に採算性の高い用地を絞り込んで取得している。積水ハウスは高級化路線で
利幅を確保する戦略を打ち出しており、大阪の中心部に加え、神戸・岡本地区など
住環境がいい地域に絞って高級な物件を供給していく方針だ。
ソースは
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news002151.html 近畿圏のマンション新規販売戸数のグラフは
http://www.nikkei.co.jp/kansai/img/img000155.gif 依頼を受けてたてました。
景況判断「緩やかに回復」に下方修正・近畿財務局
近畿財務局は21日、近畿2府4県の経済情勢判断を1段階引き下げ「緩やかに回復している」とする1月の管内経済情勢報告(2007年10―12月分)をまとめた。
企業の設備投資が前年を大幅に上回り、生産活動も好調とした一方、新設住宅着工戸数が前回に続き前年を大幅に下回ったほか、有効求人倍率が下降し「改善に足踏みが見られる」と指摘した。
下方修正は05年1月以来3年ぶり。
新設住宅着工戸数の減少に関しては建築確認の厳格化を背景にした影響だけでなく「実際の需要にも懸念がある」(樋口俊一郎局長)とした。
企業活動では輸出が好調とするものの、景況感が中小企業を中心に悪化していることから「原材料価格や海外経済の動向に留意する必要がある」と指摘した。
管内の中小企業309社を対象にした調査(調査期間は07年11―12月)についても発表。
収益構造が「増収減益」になったとする企業が前回調査(07年2―3月)より22.5ポイント増の29.1%に上り「仕入れ価格の上昇などコスト増が起こっている」との認識を示した。
ttp://www.nikkei.co.jp/news/retto/20080121c6b2102121