原材料高騰に伴う食品メーカーの値上げが相次ぐ中、
北陸の食品スーパーで“我慢比べ ”が続いている。
大手スーパーでは、逆に独自商品を値下げする動きもあり、対抗上、地場スーパーも
「価格凍結宣言」の継続を余儀なくされている。店舗過剰(オーバーストア)が価格競争の背景にあり、
利益を削っての消耗戦が業界再編を加速させる可能性が出てきた。
大手スーパーのイオン(千葉市)は、昨年八月からメーカー品の加工食品や生活必需品など
約百品目の価格を据え置いている。当初、昨年末までの期間限定としていたが、
「消費者の生活防衛意識が高まっている」(担当者)とみて今年二月末まで延長した。
昨年十一月末からは、メーカー品より二、三割価格を抑えた独自商品「トップバリュ」の
二十四品目をさらに10―25%値下げした。独自商品は従来の二―五倍に売り上げを伸ばした。
バロー(岐阜県多治見市)は「価格凍結」を昨年末で終え、十四日からは「値下げ」を宣言。
ただ、メーカーの商品も含んだ「凍結」に対し、値下げするのは独自商品三十六品目に限った。
「昨年はまだメーカーとも価格交渉しやすかったが、今年は全く状況が違う」(担当者)という。
近年、原油価格の上昇に加え、中国など新興国での需要増、バイオ燃料向けに転作が進んだ影響などで
小麦や大豆などが値上がりしており、食品メーカーの卸価格の改定が続く。
今年に入り、即席めんやビール、しょうゆ、香辛料などのメーカーの多くが値上げを予定している。
大手スーパーは全国多店舗展開の強みを生かし、大量一括購入でメーカー品のコストを削減。
独自商品は計画生産・販売ができ、「メーカー品の値上げに逆行する独自品の値下げは、
消費者に魅力的で利益率も高い」(関係者)という。
地場スーパーも対応に追われる。大阪屋ショップ(富山市)やアルビス(射水市)、マルエー(白山市)など
十四社が加盟する連携組織「北陸シジシー」(同)は、昨年九月からの独自商品七十五品目の
価格凍結を四月まで延長した。
二カ月ごとに対象商品を見直し、北陸シジシーとして独自にメーカー品五十品目も据え置いている。
だが、担当者は「原材料そのものが高騰し続けているのに、大手も品質を落とさずにいつまで
続けられるのか」と戸惑いをのぞかせる。
アルビスは大手同様、加工食品の値下げを検討する。
担当者は「何らかのキャンペーンに打って出たい」とし、今後、具体的な実施時期や対象商品の選定を行う。
オーバーストアとされる北陸の市場では、価格次第で客足が揺れ動くため、
地場スーパーも、大手の動向に敏感にならざるを得ない。
関係者からは「ある程度の規模があれば対応も取れるが、企業努力にも限界がある。
小規模の店ほど仕入れ価格のアップと大手の値下げのダブルパンチに苦しんでいる」との声も漏れる。
メーカーの値上げが集中する春先以降、小売り業界で提携、淘汰の動きが一気に進むとの見方も広がっている。
ソース
http://www.hokkoku.co.jp/_keizai/K20080119301.htm