第三セクター、けいはんな(京都府精華町)の経営再建問題で、主要株主の京都府が
同社運営の「けいはんなプラザ」について主要施設の無償譲渡を受け入れる方針を決めた
ことが17日、分かった。すでに同社や主な出資自治体に伝えた。施設譲渡は民事再生
計画案の重要な柱の1つ。運営コストを削減し、黒字化を後押しする。経済界も
社債引き受けを通じた資金的な支援に向け調整に入っており、今春をめざす計画決定へ
追い風となる。
京都府が無償譲渡を受けるのはプラザのうち、ベンチャー企業支援や研究開発の拠点
であるラボ棟(研究棟)、ホール、会議場など。譲り受け後、府がけいはんなに賃貸・
運営委託し、現在と同様の運営を続ける。府は2月中旬に始まる定例議会に提案し、
了承を得たうえで正式決定する。
施設引き受けによって、同社が負っていた施設維持コストを府が肩代わりするほか、
同社が精華町に納める固定資産税なども相当額を府が町に交付金として払う方向。
負担減で同社は2008年度以降、年間2億円の最終黒字を確保できるという。
同社は昨年12月末、大阪地裁から民事再生手続きの開始決定を受けた。累積赤字は
昨年3月末時点で約89億円。赤字の主な原因は稼働率が低いホールなどへの過剰な
設備投資とされ、再建には負担軽減が課題だった。
京都府は同社株式の15%を保有し、日本政策投資銀行に次ぐ第2位株主。山田啓二
知事はかねて「施設の機能を維持することが重要」と強調してきた。ホールについては
公共性があり、ラボ棟も関西文化学術研究都市の中核施設として企業・研究機関の
交流促進を図るうえで公的な関与が必要との判断を強めたとみられる。
けいはんなが検討中の再生計画案では、このほか、社債20億円を発行して調達資金を
金融機関からの融資の一部返済に充当。約80%の債権カットも求める方針。資本金
(100億円)を99%減資して累積赤字を解消することなども盛り込んでいる。
社債については、経済界が引き受けを検討。住友金属工業やオムロン、関西電力、
近畿日本鉄道、松下電器産業の5社が2億円ずつ10億円を出し、残りを広く募る方向で
調整している。今後、金融機関との債権カットの交渉が最大の焦点となる。
▽News Source NIKKEI NET 2008年01月17日
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news002091.html http://www.nikkei.co.jp/kansai/img/img000150.gif ▽京都府けいはんな学研都市
http://www.pref.kyoto.jp/bunkaga/