米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題がさらなる深さと
広がりを見せ始めた。
米シティグループは2兆3000億円を超える新たなサブプライム関連損失を公表した。
メリルリンチも約1兆6000億円の追加損失を計上するもようだ。
米国の住宅価格が下がり続けているため、保有するサブプライム関連商品の価格が下落、
時間の経過とともに損失が増えているのだ。影響軽微とされた邦銀の損失も拡大しつつある。
サブプライム問題による株式、通貨、原油など市場の混乱は深刻さを増している。しかし、
ここへ来てまったく異質の問題が生じていることを見逃してはならない。損失処理にからむ
シティなどの資本増強で中東・中国の国家マネー頼みが際だっているのだ。
シティの約2兆3000億円増資、モルガンスタンレーの約5300億円増資には、それぞれ
中東と中国の政府系ファンドが応じた。みずほコーポレート銀行が出資するメリルリンチも、
引き受けの中心は中東マネーだ。
米政府は、銀行の不良債権処理で日本が行った公的資金の投入には慎重だ。民間にも
大規模増資に応じる余力はない。その空白を中東・中国マネーが埋めているという構図だ。
ロシアも約2兆円の国家マネーを準備し、投資機会をうかがっている。
ファンド側は経営支配が目的ではないという。出資形態は高利回りの代わりに議決権を
伴わぬものが中心だ。それでも米経済の中枢である金融が、中東や中国の国家マネーに
依存することには危惧(きぐ)せざるを得ない。
中国や中東の企業が石油会社買収や港湾管理権獲得を狙ったさいは、安全保障の観点から
米議会が反発、中止に追い込まれた。今回は背に腹は代えられないというのだろうか。
先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が、政府系ファンドに透明性と説明責任の
向上を求めたのは、彼らが市場原理とは離れて戦略的な動きをしかねないとの懸念からだった。
この疑問が解消されないまま、国家マネーは米金融界、ひいては世界経済の中で着々と
存在感を増している。サブプライム禍は国際関係全般における新たな
攪乱(かくらん)要因を生みだしつつある。決して注意を怠ってはならない。
ソースは
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080117/amr0801170229002-n1.htm 依頼を受けてたてました。