【半導体】東芝:1.4兆円で2工場、フラッシュメモリーの生産能力4倍に…09年度から生産開始計画 [07/12/29]
>>1の記事の紙面版はこちら
東芝1.4兆円で2工場、フラッシュメモリー、生産能力4倍、サムスン抜き世界首位。
2007/12/29, , 日本経済新聞 朝刊, 1ページ
東芝は主力半導体のフラッシュメモリーで国内に二工場を新設する。二〇〇九年度から相次ぎ生産を
始める計画で、総投資額は提携先の米サンディスクと合わせて五年程度で計一兆四千億円にのぼる。
東芝は今秋、携帯電話用などに需要が急増している同メモリーの新工場を稼働させたばかり。大規模工場を
さらに二つ設けて生産能力を一気に現在の四倍に拡大、同メモリーで世界トップの韓国サムスン電子を抜き、
首位獲得を狙う。(関連記事11面に)
東芝は半導体、原子力発電、パソコンなどデジタル製品の三事業に経営資源を集中。非中核事業は売却を
進めており、「選択と集中」戦略をさらに加速する。
同社は二十八日に経営首脳会議を開き、半導体工場計画について協議した。現在はフラッシュメモリーを
三重県四日市市の第一―第四工場で集中生産している。第五、第六工場の建設に向け、年明けから自治体や
地権者などと本格調整に入る。
第五は〇八年度に着工して〇九年度に稼働。第六も早ければ〇八年度に着工、〇九年度に稼働させる。建設地は
第五が岩手県北上市か北九州市、第六は四日市市を軸に検討する。岩手と北九州にはすでにマイコンなどの半導体
工場があり、どちらかの近接地に建設する。四日市では既存工場の隣接地を確保する考え。
生産するのは携帯電話、携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラ用メモリーカードなどに広く使われる
「NAND型」と呼ぶフラッシュメモリー。両工場とも生産性の高い直径三百ミリのシリコンウエハーを使い、
フル稼働時にそれぞれ最大月間二十万枚近い生産能力を持つ。需給動向を見ながら四年程度かけて
両工場をフル生産にする。
東芝の現在の生産能力は月間二十万枚(三百ミリウエハー換算)。今月に量産を始めた第四工場
(投資額七千億円前後)は早ければ〇九年度半ばにフル稼働に達し、能力は四十一万枚に増える。
サムスンは能力を公表していないが、第四工場フル稼働時の能力はサムスンの現在能力を上回る見込み。
サムスンも能力増強を進めているが、東芝はさらに二工場を新設して能力を現在の四倍の八十万枚程度に拡大。
首位奪取を確実にする考えだ。
新工場は第一―四工場と同様、メモリーカードメーカーの米サンディスクと共同で建設する。投資額は
各七千億円程度。建物は東芝が設置するが、投資の大半を占める製造装置は両社で折半して負担を軽減する。
東芝の半導体投資は現在年三千億円規模だが、二工場新設により一〇年度以降は同四千億円規模に膨らむ
見込み。投資資金は手元資金と借り入れなどで賄うとみられる。
各個撃破
>>128 もしかしてHDDVDをハードディスクDVDと言ってるタイプ?
前述の11面記事はこちら
東芝半導体2工場新設、「選択と集中」一段と加速、巨額投資にリスクも。
2007/12/29, , 日本経済新聞 朝刊, 11ページ
東芝は三重県四日市市などを候補地に半導体二工場の新設に踏み出すことで、成長事業への
「選択と集中」を一段と加速する。世界二位のフラッシュメモリーで「サムスン超え」に向けアクセルを
踏み込む一方、シャープからテレビ用液晶パネルを調達して赤字のパネル製造から撤退する。
メリハリをつけた経営で成長路線に弾みをつける考えだが、半導体は市況産業だけに巨大投資には
一定のリスクも伴う。(1面参照)
二〇〇五年に就任した東芝の西田厚聡社長は〇七年度を「現有事業の総点検の年」と位置づけ、
構造改革を加速させてきた。十月にソニーのゲーム機用半導体の生産設備を買収することを決定。
一方で東京・銀座の旧本社ビルを東急不動産に約千六百十億円で売却することを決めるなど、事業の
取捨選択を着々と進めてきた。
ただ「攻めの経営」を支える財務基盤は必ずしも盤石とは言えない。〇七年九月末時点の現金および
現金同等物は約二千六百億円。約五千億円を投じた米原子力発電大手ウエスチングハウス買収などにより、
一年前に比べ四千億円減少した。自己資本比率も一九%と電機大手の中で見劣りする水準だ。
元グリーンピースの幹部でさえ、今後は世界中で200基の原発需要が見込まれるし
クリーンなエネルギー源として各国は強力に推進すべきだと
一年前のSAPIOのインタビューで答えていたからなぁ。
しかしここでフラッシュメモリー投資の手を緩めると、韓国サムスン電子に突き放される。そうすれば
これまでの投資が無駄になり、投資に尻込みして撤退に追い込まれたかつてのDRAM事業の二の舞いに
なりかねない。足元のフラッシュメモリーの市況は悪化しているが、世界市場規模は今後年平均で二割以上
拡大すると判断。「選択と集中」路線を継続しながら、大規模投資を加速することにした。
少しでも負担を軽減するため、生産した同メモリーを自社のメモリーカードに組み込む米サンディスクと
投資を分担。さらに一兆四千億円の投資を五年程度に分けて実施していく考え。それでも毎年の投資負担は
これまでより千億円程度膨らむ見込みだ。
同社の〇七年三月期の減価償却費は二千九百億円。今回の二工場建設で償却費負担は増える見通し。
ただ半導体や原発事業などの拡大によって、〇七年三月期に二千二百億円の赤字だったフリーキャッシュフローは
一〇年三月期には二千八百億円の黒字になると見込んでいる。このため大規模投資を継続しても財務状況は
大きく損なわれないとみているようだ。