日本経団連は19日、2008年春闘で経営側の交渉指針となる「経営労働政策委員会報告」
を発表した。報告書では「企業と家計を両輪とした経済構造の実現が安定した日本経済の成長
に不可欠」と明記し、国際的に見て生産性が高く競争力を持つ企業の賃上げを促す異例の内容
となった。
企業業績が5年連続で過去最高を更新する一方で、企業の規模や業種、地域などによる業績の
“格差”もあり、報告書では「総額人件費増」という表現になっている。格差解消のための
賃上げを求める労組側の見解とは異なる部分もあるが、経営側が一定の賃上げを認める姿勢を
打ち出したことで、今後の労使交渉に大きな影響をおよぼしそうだ。
経労委報告は、年明けの春闘で経営者が労使交渉を行う際の対応を示すもの。経団連は
「手取り収入が伸び悩み、個人消費の鈍化が懸念される」と指摘。その上で、「総額人件費の
決定は個別労使の協議による」とのスタンスを維持しながら、「恒常的な生産性向上があれば
総額人件費の改定原資とする」と一歩踏み込んだ表現で、賃上げを容認している。
ただ、同じ業種での横並び賃上げを求める「職種別同一賃金」については、「市場横断的な
ベースアップはもはやありえない」として、一律の賃上げは昨年と同様否定した。
19日会見した日本経団連副会長で経営労働政策委員長の草刈隆郎日本郵船会長は「賃金水準が
一定に達してない企業で、生産性が良くなればベースアップしても良い」と語った。
■手取り減少に配慮 先行き不安で厳しさも
日本経団連が2008年春闘で賃上げを容認した背景には、企業業績が過去最高水準を更新する
中、厚生年金保険料の引き上げや定率減税の廃止などサラリーマンの手取り収入が減少し、
内需拡大の足かせになっているとの認識がある。
過去のデフレ不況下で、ベースアップ(ベア)ゼロに押さえ込まれてきた自動車や電機など
主要産業の春闘は06年に5年ぶりに賃上げに転換。07年も好調な企業業績に支えられ、
労働側は2年連続で賃上げを獲得したが、年明けに本格化する08年春闘の主要産業の労使交渉
も一定の賃上げが前提となる。
ただ、今回の経労委報告でも触れているように、米国のサブプライム(高金利型)住宅ローンの
焦げ付き問題や、住宅投資の大幅落ち込みなど、経営側には好調が続いた企業業績に今後陰りが
出るとの警戒感が根強いのも事実。
日本経団連の草刈隆郎副会長はこの点について、「企業の収益率は昨年より今年の方が全般的に
落ちている」と指摘。経営側として必ずしも大幅賃上げを認める環境にはないとの考えを示して
おり、賃上げ幅をめぐる労使交渉は過去2年に比べて厳しさを増しそうだ。
ソースは
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200712200008a.nwc 関連スレは
【労働環境】御手洗経団連会長:春闘での賃上げに理解、横並びの賃上げには否定的な姿勢 [07/12/10]
http://news24.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1197297650/l50 依頼を受けてたてました。