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米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題で揺れる米国経済は、
不透明感を増している。大統領選も混沌としている。最近のロシアの動向を見るにつけ、
両国の違いに驚く。
かつて米国との対立軸に据えられていたロシアは、ソ連時代に鉄のカーテンなどと言われ、
不透明な国の代表的な存在だったかと思う。先日、ロシアを訪問した時、地元テレビ局では
「プーチン皇帝-その裏側」と題した特集番組の予告編を延々と繰り返していたが、そんな
批判的な番組が、下院選挙(12月2日)直前に流れるのは旅行者にとっては新鮮だった。
プーチン大統領は、次期大統領に側近のメドベージェフ氏の支持を表明したが、
地元証券アナリストの評価もまた、新鮮なものだった。いわく、「両氏のこの組み合わせは
“ドリームチーム”と地元テレビ局で報道されており、(1)プーチン氏の長期経済計画が
踏襲される、(2)外部から見て政策決定の仕方や考え方が、より分かりやすい権力構造に
なる、(3)長期的な安定性が強まる」など、非常に好意的な見方を聞いた。
“プーチンによる院政”と批判する向きは、その後も現地からはあまり聞こえてこない。
■プーチンの人気の秘密を垣間見る
プーチン政権は国民の8割という圧倒的な支持を得ている。そんなことは民主主義の国では
あり得ない、などと筆者は考えていたが、間違っていたかもしれない。企業訪問を繰り返す
と産業界の間でも人気が高いことが分かった。
ロシアの銀行業界はこの5年余りの間に産業再編と株式公開が進み、大手の競争力が高まって
いる。石油業界や鉄鋼業界もここ数年間で同様な進展があり、大手のシェアアップや国際的な
事業展開で経営基盤がかなり強化されている。
民間石油企業トップのルクオイルは、ロシア以外にカザフスタン、ウズベキスタンといった
旧ソ連地区のほか、コロンビア、イラク、エジプトに生産基地を広げ昨年まで15年間増益を
続けている。さらに最近では中国、タイ、インドネシアにも進出の計画を明らかにしている。
鉄鋼トップのスベルスタル・スチールは米国に進出、鉄鋼生産能力ではシェア4位だが、
自動車向けに限るとトップクラスに躍り出た。
同社は米国トップのUSスチールを買収する、との噂話が絶えない。ロシア企業の国際展開は
このほか、通信、非鉄業界にも広がりつつある。それらは必ずしもロシア国営企業ではない。
ルクオイルはもちろん、スベルスタル・スチールなども1993年に民営化された企業であり、
政府は民間企業の活力を生かした産業政策を展開している。
続きます。ソースは
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20071214/143161/ http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20071214/143161/?P=2&ST=world