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世界のIT支出はここ数年回復していたが、2008年には伸びが減速しそうだ。
この数週間、IDCやForrester Researchなどの調査会社が、2008年のIT支出の成長予測を
引き下げている。各社は、米国の金融セクターで騒ぎになっているサブプライム問題、
エネルギー価格の高騰などを、CIO(情報統括責任者)が予算をあまり引き上げない理由として
挙げている。
ソニー傘下のSony Pictures EntertainmentのCIO、デビッド・コーテス氏は、2008年の
IT予算を増やすつもりのないCIOの1人だ。同氏は、設備投資--通常は毎年8けたに上る--に
振り向けられる予算は、2007年と同じ水準にとどまると語る。新技術に投資する計画はあるが、
社内の情報技術を最新のものに保つのに足りる程度の額が目標という。
その理由は、同氏の部門がSAPの大規模なソフトウェアシステムを導入したこと、
今はコスト削減が可能なもっと安価なITプロジェクトに注力していることにある。
同氏によると、Sony PicturesのDVD事業は業界の低迷のあおりを受けている。だから、
「予算は据え置きにされている」と語りつつも、「悲惨な状況というわけではない」と同氏は
付け加えた。
コーテス氏のような体験が、2008年のIT支出予測に反映されている。IDCは先週、2008年の
世界IT支出の対前年比伸び率の予測を5.5-6%に引き下げた。以前の予測では、前年比6.9%増
とされていた。
引き下げは主に、米国の支出減速によるものだ。Forrester Researchは、2008年の米国の
IT支出の伸び率を5.2%と予測している。6.4%という以前の予測よりも、2007年の
伸び率予測5.7%よりも低い数値だ。
調査会社Gartnerは、2008年の米国のIT支出を前年比5.7%増と見込んでいる。2007年の
前年比6.1%増よりも低い数字だ。ほかの地域、特にインドや中国などの新興市場のIT支出は、
もっと堅調に伸びると予測している。
こうした予測引き下げの前には、IT支出が世界的に回復した時期があった。2000年の
ドットコムバブル崩壊後、多くの企業はIT支出を削減した。IDCによると、それにより
2001-2003年にかけて世界的にIT支出が減少した。だが2004年には再び伸び始め、
同年の成長率は4.7%、2005年は6.9%、2006年は6.1%、そして2007年は6.9%の
見通しだという。1990年代後半の2けた成長には及ばないが、Cisco Systemsや
Hewlett-PackardなどのIT企業を押し上げ、ITセクターの株価も伸びた。
続きます。ソースは
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/13/news055.html