先月、県内ほとんどのタクシーの運賃が値上げされました。
運転手の賃金引き上げが最大の目的ですが、一方で、値上げしなかった会社もあり、利用客を
増やしています。
値上げから3週間、現状を取材しました。
タクシー運転手(客の動きは?)「1割から2割程度は増えつつあるというか増えたんではないかと思う」
今回運賃を据え置いた富山市の「愛交通」です。
小型車の初乗りが560円、値上げした他社は690円で、130円安くなっています。
また、加算料金も他社より安く抑えています。
利用客は「きょうは3120円です、以前は4000円前後だった」「片道で1000円違うから往復で
2000円違います」「3、4日前に人から聞いて助かるわというので行き帰りお願いするようになった」
愛交通は平成15年に設立され、現在、24台のタクシーを保有しています。
愛交通の田上利徳社長は「今の料金で十分対応できましたから、あとひと工夫すればできるのでは
ないかと、確かに燃料費高騰あります、その分仮にあと1割でも客が増えれば燃料費位ペイできると」
運賃を抑えるポイントは徹底した効率化です。
空車での待ち時間を減らした結果、お客を乗せて走る実車率は他社の平均より5ポイントほど高い
50%近くに達しています。
【運転司令室】「はい、ありがとうございます愛交通です」「西能病院の前でよろしいですか・・・」
効率化に効果的だったのは1年前、他社に先駆けて導入したデジタル無線です。
秒単位でタクシーの現在位置や状況が把握できるため、運転司令室から素早く効率の良い指示が
可能になりました。
さらに、多くの人に知ってもらうために企業名別の電話帳の全てのページに社名を入れる広告を出しました。
愛交通のタクシー1台あたりの1日の売り上げはおよそ3万3千円で、他社の平均より1万円ほど多くなっています。
田上社長は「一番大切なのは1時間当たりの売り上げだと思う」(高いと自負?)「そうです、それはもちろん賃金に表れるということ」
今回、多くのタクシー会社が運賃を値上げした最大の目的は、低い賃金を改善するためです。
タクシーの利用者が年々減る一方で平成14年の規制緩和で運行台数が増えて、1台あたりの
売り上げが激減しているのです。
タクシー協会は「現在も1300台ちょっと超えていますので、大体1200くらい、要するに100台
ほど多いのかなと」
その一方で、愛交通の運転手の年収は平均で400万円を超え、タクシー運転手全体の318万円
余りを大きく上回っています。
タクシー協会は「確かに減らせば効率的な車両運用ができる、そういう意味では運賃値上げまで
しなくて済むような状況だったかもしれない」
規制緩和のツケを利用者が払っているという構図ですが、一方で値上げしなくても大丈夫という
会社もあるわけです。
業界全体として企業努力につながっていく形をどうすればとれるのか、行政や企業それぞれが
改めて考えてみてはどうでしょうか。
http://www2.knb.ne.jp/news/20071210_13909.htm 依頼250