高級料亭「船場吉兆」(大阪市)は10日、一連の食品偽装について、湯木正徳社長ら
役員が認識しながら放置したのは責任があるとする改善報告書を農水省近畿農政局
(京都市)に提出した。農水省の調査ですでに判明していた牛肉や鶏肉、菓子類以外にも
めんたいこなど、多数の商品で賞味期限の改竄(かいざん)や原材料の不適切な表示が
あったと認めた。
湯木社長の長男、喜久郎取締役らは記者会見を開き、「食品の安全と信頼を裏切り、
深くおわびします」と謝罪。大阪市の本店で扱った商品37品目のうち30近くで不適切な
表示があったことを認めた。
九州産牛肉を「但馬牛」などと偽った問題で、喜久郎取締役は「同等の品質の肉を
使用していたので問題ないと思った。客を欺く意識はなかった」と釈明。2003年秋から
大量の仕入れが必要になって九州産を使い始めたが、表示を変えなかったことについて
「思いが至らなかった」と述べた。報告書は湯木社長や喜久郎取締役らが「不適切表示と
漠然と認識しながら、法令違反と十分認識せず放置した」と責任を明記した。
一方、福岡市で販売された商品の消費・賞味期限のラベル張り替えでは、二男の
尚治取締役の指示を否定。売れ残った商品の破棄を認めず、従業員を強く
叱責(しっせき)したことが「実質的に改ざんを指示したことに当たる」とした。
報告書は、賞味期限の張り替えは約10年前から行われ、常態化していたと指摘。一連の
問題の原因について「組織だった指揮命令系統が存在せず、チェック体制が
整っていなかった」と結論付けた。
同社は湯木社長と喜久郎、尚治両取締役が辞任し、当面の間、商品販売から撤退する。
報告書は、同社の調理人や弁護士らでつくる調査委員会がまとめた。
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_12/t2007121027_all.html