【コラム】“隠れ債務超過状態”ジャスダック経営を擁護する大新聞のピンボケ−町田徹 [11/30]

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1 ◆Robo.gBH9M @ロボ-7c7c(初代biz+ 支局長)φφφφ ★
http://diamond.jp/series/machida/10007/
このところ、日本証券業協会の傘下にある「ジャスダック」を中心とした新興市場の再編問題が、
非常に混迷しているかのように報じられている。だが、混迷しているのは、再編問題ではなく、
むしろ、報じる大手メディアの方ではないだろうか。

各メディアはそろって、問題の本質が、東証マザーズや大証ヘラクレスの10倍前後の手数料を
証券会社各社から徴収しないと経営が成り立たず経営危機に陥っているジャスダックの再建
問題であることを見落としている。そして、「身売り」「合理化」に抵抗し、保身を図っているとしか
思えないジャスダック現経営陣に与する記事を量産しているのが実情と言わざるを得ない。(中略)

■高額の売買手数料を下げると破綻しかねない危機的状態
再編問題の実際の経緯を最初から振り返ろう。

朝日と毎日の2つの記事に共通しているのは、大証が主体的に買収を提案したという点である。
ところが、筆者が取材したところ、まさに、この点で、この2つの記事のニュアンスが事実と
ずれていることが判明した。

というのは、日証協の安東俊夫会長が筆者の取材に応じ、「私から今夏、(東京証券取引所と
大阪証券取引所の両方に対して)買収希望がないか打診した」と真相を明かしたからだ。日証協は、
発行済み株式数の7割を超える株式を保有するジャスダックの大株主だ。その打診の意図に
ついても、安東氏は「東証マザーズ、大証ヘラクレス、ジャスダックの3つの新興市場の再編を
通じて、米ナスダック市場に対抗できるような壮大な市場を作る布石にしたかった」と、率直に
語っている。

ただ、安東氏が明かしたのは、きれい事の夢物語だけではない。その背景には、現在、経営規模・
収入のわりに多過ぎる人員を抱えて、マザーズ、ヘラクレスと比べると桁違いに高い株式売買
手数料(ほぼ10倍)を証券各社から徴収しないと経営が成り立たないジャスダックの「再建問題が
あった」ことも認めている。

ちなみに、証券各社は、投資家に手数料を請求する際に、個別の取引所の委託手数料の料率を
細かく開示することがない。このため、ほとんど一般には知られていないが、ジャスダックは、
マザーズ、ヘラクレス並みに手数料を下げると、あっという間に経営が破綻しかねない状況にある。
関係者の中には、こうした状態を評して「隠れ債務超過」「実質債務超過」と揶揄する向きも
あるほどなのである。

そこで、ジャスダックの経営問題を放置できないと考えた安東会長がまず、動いた。自力再建は
困難と考えて、東証と大証に再建に協力を打診したのだ。背景には、ジャスダックの経営再建
問題があった。これが、一連の問題の真相である。降って湧いたかのように、突然、大証が買収を
申し込んだわけではなかったのである。

こうした安東協会長の打診に対して、東証は実に冷ややかだった。東証では、すでにマザーズの
運営がある程度軌道に乗っており、これ以上、新興市場の振興に力を入れなくとも、新興市場
銘柄はいずれ、東証第1部に移行してくるところが多いと読んでおり、「渦中の栗を拾う行為を
避けたい」(東証幹部)との判断が働いたからである。そこで、やんわりと、しかし、即座に協力
拒否を安東協会長に伝えたという。

>>2に続く