NECは、世界最高速のベクトル型スーパーコンピュータ「SXシリーズ モデルSXー9」
を製品化して、10月25日から世界で同時発売した。これは、単一チップ当たりで
100GFLOPS(1ギガフロップス=毎秒10億回の浮動小数点演算性能)超という
極めて優れた演算性能をもった、世界で最速の一チップベクトルプロセッサを実現したもの。
1ノード当たり16個のCPUを搭載して演算性能1.6TFLOPS
(1テラフロップス=毎秒1超回の浮動小数点演算性能)を、さらにそれを
最大512ノード接続した、総合演算性能839TFLOPSの超大規模
マルチノードシステムを実現した。
SXシリーズは、最先端科学の研究支援ツールとして、研究者にとって「使いやすさ」と
「高性能」を提供するスパコンだとNECは強調する。世界中で、これまでに
約1100台の累積販売台数を誇り、特に、気象・気候解析をはじめ航空宇宙、環境、
流体解析などで高い評価を得ている。
SXー9は、従来のSXー8の13ノード(1.66TFLOPS)に匹敵する性能を、
1ノード(1.6TFLOPS)で実現する、驚異的な演算性能をもったスパコンである。
心臓部のプロセッサは、基本的に従来のSXベクトルアーキテクチャを継承。
これに演算機の追加、ベクトルパイプライン数増強などのアーキテクチャ改良を加えた。
また、これまでの壁を破る高速化、低消費電力化など最先端技術を採用した
65nmCMOS11層銅配線LSIにより3.2GHzという高周波数化を達成して、
単一コアチップとしては、世界初の102.4GFLOPSという演算性能、
256Gバイト/秒のメモリバンド幅を実現した。
同社の丸山好一・執行役員常務は、SXー9製品発表会の席で「例えば気象予測計算分野で
SXー9はスカラ型の機能より3?4倍、物性計算分野でも4?7倍優れている」と、
ベクトル型SXー9の利点をアピールした。
さらに、設置面積と消費電力において、従来のSXー8の13ノード対し、同等の性能の
SXー9の1ノードはいずれも約4分の1と小型・省エネ化している。
コストパフォーマンスでは、従来機の約6倍である。
同社の西川岳・第一コンピュータ事業本部長は「HPC(ハイ・パフォーマンス・
コンピューティング)分野でも、従来の速さだけではなく、最近はECOの観点も重視
されるようになってきており、世界のスパコンランキングトップ500では補完的リストと
して、世界で最もエネルギー効率のよいスパコンランキングが発表されているが、
SXー9は電力性能比なら世界トップ」と説明した。
レンタル価格は月額298万円(税込)で、今後3年間で700システムの販売を見込んで
いる。既に受注もあり、20ノードのSXー8Rを導入した大阪大学サイバーメディア
センターが、10ノードのSXー9を来夏に追加導入する。(科学、11月2日号1面)
ソースは
http://tech.braina.com/2007/1127/it_20071127_001____.html 依頼を受けてたてました。