個人消費が力強さに欠けるなか、2007年の加工食品出荷額もほとんどの品目が縮小する
見通しであることが、富士経済(東京都中央区)の調査で明らかになった。原材料価格の
高騰による価格引き上げの動きに加え、産地偽装や賞味期限改竄(かいざん)といった
不祥事が続発し、加工食品の信頼感が低下していることも、微妙に関係しているもようだ。
それによると、市場規模が大きい漬物や納豆、豆腐、冷凍野菜などの農産加工品は、
07年、08年も回復の兆しが表れそうになく、漸減傾向が続く見通しだ。とくに
製造業者は、消費量の減少が続くうえに納入価格が低下し、原料や包材価格も高騰し、
厳しい経営を強いられそうな状況だ。商品動向としては、個食化に対応した商品の伸びが
予想されるほか、輸入品の安全問題を背景に国産品への需要が高まっていると分析している。
水産練り製品や水産缶詰、つくだ煮類などの水産加工品も市場が縮小している。水産練製品が
長期にわたり低迷。風味かまぼこの高価格品など一部で増加に転じる製品もみられるものの、
原料相場の上昇によってツナ缶詰が値上げされるなど、全体を押し上げそうな好材料は
見あたらない。
ハムやソーセージ、チキン加工品などの畜産加工品は、かろうじて現状を維持している
状況だ。畜産加工品をめぐってはBSE(牛海綿状脳症)問題の影響が薄れつつある半面で、
ハムやソーセージの原料価格が高騰し、量を減らすことによる実質的な値上げが続いており、
この辺が販売にどう響いてくるかも注目点。
これに対し、微増ながらもプラスを維持しているのが、冷凍のハンバーグやミートボール、
ギョーザなどの冷凍調理済み食品。ただ、この分野でも製造原価が上昇し、値上げなどの
動きが出ており、畜産加工品と同様に先行きが不透明な部分もある。
冷凍のコロッケやカツ、水産フライなどのフライ類は冷凍カツがやや伸びたものの、
冷凍コロッケがミートホープによる食肉偽装事件の余波で、加ト吉製の商品が売り場から
撤去。このことも響いて減少を余儀なくされそうだ。チルド調理済み食品は、主要な商品の
価格下落が続き、やはり落ち込みに歯止めがかかっていない。
一方、今回の調査では全体が落ち込むなかで、話題の商品にスポットを当て、動向を分析
した。その一つがサバ、イワシ、サンマなどの青魚に含まれる栄養成分に注目が集まり、
健康志向にのって出荷を着実に伸ばしている「青魚缶詰」。07年が前年比3・3%増の
284億円と見込まれ、08年には300億円近くに到達するとの予想だ。栄養成分の
効果に加え、中高年世代では缶詰になじみがあること、子供が独立して食が簡素化した
ことなどの要因も重なり、市場が拡大したようだ。
冷凍ハンバーグも好調組の一つ。07年見込みの515億円(同2・0%増)が、
08年には525億円に拡大すると予測している。製造業者がスーパーの惣菜向け中心の
戦略から、業務用の外食向けにシフトし、市販用も弁当需要のほか、夕食向けの商品育成も
進んだことなどが好調に転じた要因とされる。
ソースは
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200711210011a.nwc 加工食品の出荷額の表は
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200711210011a2.jpg 依頼を受けてたてました。