[1/2]
2004年27件,2005年24件,2006年28件,そして,2007年86件。
これはITproに掲載されたニュースのうち,タイトルに「中国」という単語が含まれて
いる記事の検索結果である。2007年の86件は,11月13日時点の数字なので,年間では
100件を超える勢いだ。平均20数件だった2004年?年に比べて,一気に4倍増で
ある(ちなみに,タイトルではなく本文で「中国」に言及している記事も含めると,
11月13日時点で313件)。
一口に中国のIT関連ニュースと言っても様々だが,オフショア開発(海外のIT企業に
ソフトウエア開発を委託すること)をはじめ,日米欧の企業が中国の企業と手を組む
というニュースがよく目に付く。例えばこんな具合だ。
・中国・無錫市、大連に続くオフショア拠点に名乗り(2007/10/19)
・日立情報が中国でアウトソーシング事業、現地法人を通じて開始(2007/9/26)
・NECが中国SIベンダーを買収,現地流通業案件獲得に本腰(2007/9/11)
・高騰するオフショア開発費、「抑制の決め手は上流工程の委託」と中国ITベンダーが提言(2007/9/7)
・「グローバル企業の中国展開をサポートする」、NTTデータが現地ベンダーを傘下に(2007/7/27)
中国だけではない。タイトルに「インド」という単語が含まれているニュースを検索した
ところ,2004年と2005年はいずれも1ケタ,2006年も15件だったが,2007年は一気に
49件(11月13日時点)へ跳ね上がった。
中国に比べて件数自体は少ないものの,日米欧の企業と現地企業との提携に関する
ニュースの比率は,実はインドのほうが高い。多くは,米シスコ,独SAP,日本の
NTTデータやKDDIといった様々な業態のIT/通信ベンダーが現地ベンダーと組み,
インドを世界戦略のための技術拠点に位置づける,といった趣旨のニュースである。
昨日も「インドTCS,組み込みソフト開発,日本企業向け拡充」「NTTデータ,
インドシステム会社買収」といった記事が新聞の紙面を飾った(11月13日付け日経産業新聞)。
オフショア開発の経験の蓄積がある米国と違い,日本では実際にオフショア開発を
活用している企業はまだ少数派である。だが一連の報道から分かるように,ここにきて
中国やインドは,日本や欧米の企業が今後のビジネスを考えるうえで,もはや無視できない
ほど大きな存在感を持つようになった。最近ではベトナムやブラジルなど他の国々も
パートナーとして名前が挙がる。情報システムの開発や運用を,国をまたいで外部委託する
「グローバル・ソーシング」の流れは,いよいよ本格化してきたと言えるだろう。
だが,ちょっと待てよ,と思う。国をまたぐかどうかの以前に,そもそも日本企業はこ
れまでアウトソーシングをうまく活用してきたと言えるだろうか。
日本では2000年ごろから,ITベンダーと長期のアウトソーシング契約を結ぶ企業が
急増し,特に大手企業ではシステム部門の売却を伴う“フル(包括的)アウトソーシング”
が盛り上がりを見せた。ところがその後,目論見どおりにコストを削減できない,新規の
システム開発案件がなかなか進まない,採用する技術・製品を主体的に決められない,
といった問題に直面する企業も多く,契約の見直しや解除に至るケースも出てきた。
続きます。ソースは
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20071113/287016/