総務省は14日、携帯電話事業の免許を取得しながら10月30日に自己破産申請したアイピーモバイル
の免許取り消しを電波監理審議会(総務相の諮問機関)に諮問した。来年初めには免許取り消しの
答申が出る見通しだ。アイピー社は免許取得から2年後の今月までにサービスを開始する義務を
果たせなかった。このため、同審議会の羽鳥光俊会長(中央大教授)は同社に割り当てた電波
(周波数2.0ギガヘルツ帯)について「なるべく早く有効活用できるよう(総務省に)考えていただく」と
述べ、未利用状態の解消を強く求めた。
これを受けて同省は、アイピー社に割り当てた電波の“跡地”利用の検討を本格化する。
年明けに具体案を示し、審議会への諮問を経て来春以降に正式決定する方針だ。
無線通信の免許をめぐっては現在、携帯端末向けとなる次世代高速無線通信(2.5ギガヘルツ帯)の
免許審査が進行中で、アッカ・ネットワークスとNTTドコモなど▽KDDIなど▽イー・アクセスと
ソフトバンクなど−の3グループがWiMAX(ワイマックス)という通信方式で、ウィルコムは
次世代PHS方式で激しく争っている。
しかし、免許を取得できるのは2グループという激戦。このため、アイピー社分の電波を、
需要が大きい次世代無線に追加で割り当てる案が浮上している。
ただ、アイピー社用とされた2.0ギガヘルツ帯は、総務省令で主に携帯電話での利用を想定して
おり、データ通信が中心の次世代高速無線など別の用途に利用できない。総務省は2.5ギガヘルツ帯の
免許交付先を年内に決める予定だが、2.0ギガヘルツ帯の省令変更にはさらに半年から1年かかり、
仮に次世代高速無線に振り替えたとしてもサービス開始は遅れてしまう。
また、すでに4陣営とも2.5ギガヘルツで研究開発を進めており、帯域変更は開発コスト増大に
直結する。2.0ギガヘルツ帯は利用できる周波数の幅が2.5ギガヘルツ帯の半分しかなく、サービスを
提供できる顧客数が少ない点も不利だ。
各陣営は、「あくまで2.5ギガヘルツ帯でやっていく」(ウィルコム)と、より有利な免許に
こだわっており、跡地利用問題の行方は流動的だ。
▽News Source MSN産経ニュース 2007年11月14日20時23分
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/071114/biz0711142023020-n1.htm ▽総務省
http://www.soumu.go.jp/ ▽関連
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