大阪府を中心に京阪神の都市部で、高齢者専用の賃貸マンションの供給が増えている。
郊外から便利な市街地に住み替えたり、転居が容易な賃貸物件を求める
高齢者が増えているのに加え、財政難の自治体が公的な老人ホームの建設を規制。
その代わりとなる介護サービス付き賃貸マンションなどの需要が高まっているという事情もある。
住宅・マンション業界は相次ぎ供給拡大に乗り出している。
住友林業系の不動産管理会社、サン・ステップ(東京)は高齢者向けの
賃貸マンションを大阪府内で、現在の140戸(3棟)から来年度中に1000戸(12棟)に増やす。
1階のテナントに介護事業者を入れ、入居者に福祉サービスを提供。
トイレ・浴室・寝室に24時間緊急通報ボタンを設置するなど室内外の設備を
高齢者が安心して暮らせる仕様にする。
同社が大阪府吹田市の地下鉄御堂筋線・江坂駅から徒歩5分の場所で建設中の物件は、
家賃と共益費が8万8000円(35平方メートル)から13万8000円(61平方メートル)と周辺相場に比べやや割高。
だが、「老人ホームの入居待ちの要介護者だけでなく、都会の賃貸住宅で暮らしたいという
比較的元気な高齢者の入居希望も多い」(大阪支店)という。
大阪府内と兵庫県尼崎市で380戸(14棟)の高齢者専用賃貸住宅を運営する丸紅系の不動産管理会社、
丸紅コミュニティ(大阪市)は今後、近畿で年5棟、100―150戸のペースで新規建設をめざす。
京都府への進出も検討する。
「子供に迷惑をかけないように1人暮らしをして訪問介護サービスを受けたいという人や、
配偶者を亡くし自動車の運転が困難になったのを機に郊外の自宅を売って入居する人が増えている」という。
新規参入の芽もある。6月、厚生労働省が不動産業の兼営を禁止してきた医療法人に、
高齢者専用賃貸住宅の経営参入を解禁した。
近畿でまだ参入事例はないが、「医療法人からの問い合わせが相次いでおり、関心は高い」
(大阪府の担当者)という。
大手住宅メーカーのパナホームは今秋から、近畿地区の医療法人に高齢者専用賃貸住宅の
経営を提案し始めた。同社が15―20戸規模の集合住宅を建設し、医療法人が経営する病院・診療所が
入居者の「かかりつけ医」になることで高齢者の需要に応える。
同社は「介護保険制度に頼らなくても、医療や介護サービスの充実した賃貸住宅の整備が
近畿で今後急速に進む」(エイジングライフ部)とみている。
ソース
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news000968.html