野村アセットマネジメントの柴田拓美社長は9日、ヘッジファンドに対する規制のあり方について
「個別ファンドや運用手法を対象にするのではなく、運用会社やプライムブローカーなどの
関係者を対象にするべきだ」と指摘した。
また、システミックリスクの管理については、ヘッジファンドに対してつなぎ融資や
証券保管サービスなどを提供するプライムブローカーに対して細心のリスク管理や
異常なポジションの報告などを求めるとともに、自主規制の強化を促すべきとの見解を示した。
日米欧など証券当局で構成される証券監督者国際機構(IOSCO)が
東京で開催した国際会議のパネルディスカッションで述べた。
柴田社長は賢明な規制のアプローチとして、当局はヘッジファンドと伝統的なファンドとを
平等に扱い、既存の監督権限や手段を活用して運用会社、受託銀行、プライムブローカー、
運用アドバイザーなどヘッジファンド関係者を規制の対象にすべきだと述べた。
実体がつかみにくいとのイメージがあるケイマン籍などのオフショアファンドについても、
実際の運用担当者はニューヨーク、ロンドン、シンガポールなどの大都市に在住している場合が多く、
規制対象を個別ファンドではなく運用会社にすれば実態の把握が可能になるとの見方を示した。
世界のヘッジファンドの運用額は1兆7000億ドル、ファンド数は9300本以上で、
全てのファンドのポジションを監視するような「過剰規制は避けるべき」と警告した。
規制当局が課題とするシステミックリスクについては、リスク回避のためにはヘッジファンドに
流動性を供給するプライムブローカーへの監督権限を有効活用するべき、と指摘した。
「プライムブローカーはヘッジファンド業界のシステミックリスクを管理するカギを握っている。
天国にも地獄にも行くカギを握っている」とし、市場ポジションに大きな偏りがある場合は
プライムブローカーが当局に報告することなどを求めるよう提言した。
同席した香港証券先物委員会のマーティン・ウィートリー最高経営責任者(CEO)は、
ヘッジファンドは複数のプライムブローカーを使い、複数の国で取引をしているため、
単一のブローカーが全てのポジションを把握できないとし、
「プライムブローカー、ファンド、規制当局など複数のレベルで対話を持つ必要がある」と述べた。
同時に各国間の協力の必要性も強調した。(以下略)
ソース
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-28814420071109 http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-28814420071109?pageNumber=2