救急時の患者や妊婦をどの医療機関が受け入れられるか、随時検索できる都道府県の
医療情報システムが、情報更新の遅れなどで各地で十分に機能していないことが、
総務省行政評価局の調べでわかった。妊婦の救急搬送が遅くなったケースが06年に
全国で1000件超あったことが総務省消防庁の調べでわかったが、システムの情報が
実際の受け入れ状況を反映していないこともその一因になっているとみられる。
このシステムは、病院や関係機関をネットワークで結び、病院が空床状況などを
随時入力。消防機関は救急搬送時に閲覧し、受け入れ先を探す。広く一般の
救急患者を対象とした「救急医療情報システム」と、妊婦と新生児を対象にした
「周産期医療情報システム」があり、ともに厚生労働省が補助金を出して都道府県が
運用している。
総務省は05年12月-今年9月、救急、周産期両システムの運営や関連事業について
それぞれ8、14都道府県を抽出して調査。
北海道と宮城県で更新遅れが見つかった。
宮城県は医療機関に1日2回、救急システムへの入力を求めているが、同省が
聞き取った3医療機関のうち2機関は「あまり入力していない」と回答。「入力用の
端末が1台しかなく、設置してある部屋まで出向いて入力するのが面倒」などと
理由を挙げた。うち1機関は05年7月からの半年間、入力作業をしていなかった。
消防機関側も、調査した7消防本部すべてが「ほとんど利用していない」と答えた。
同県は周産期システムも、空床情報が閲覧できる医療機関が仙台市周辺の9カ所に
とどまっていた。
北海道の周産期システムでは、道が救急時の受け入れ先として定めている計35機関
に少なくとも毎日、入力を求めている。だが、産科について入力した日数は、02年度
は全機関の平均で3日に1日、04年度は4日に1日の割合になっていた。
総務省は9月、厚労省に改善を勧告。北海道は、現在約10ある入力項目の簡素化などを
検討している。宮城県はすでにこれまで電話網でつないでいた救急システムを
インターネット利用に転換するなどの改善を進めており、担当者は「周産期システムに
ついてもさらに参加を呼びかけたい」と話す。
8月末に奈良県で起きた妊婦の搬送遅れでは、11医療機関のうち10機関が
救急システムで「受け入れ不可」だったことなどから県外に搬送することに
なった。更新が1日2回で、周産期システムには消防機関が参加していなかった
ことから、県は「さらに即時性や両システムの連携が必要」と見直しを進めている。
ソースは
http://www.asahi.com/life/update/1027/TKY200710270165.html 依頼を受けてたてました。