>>604の続き
マンションの大きさにもよるが、延べ床面積が1万平方メートルを超える大規模マンションなら、
1回の計画変更で確認申請をし直すために数百万円の手数料がかかると見込まれている。
これまで書類差し替えで、タダで済んでいたのに数百万円。この負担が図面や書類を作る
設計事務所に押しつけられる公算が大なのだ。
(中略)
国交省の狙いは、弱小潰しか。資金的にも新制度に耐えられるところだけが生き残ればいいとの
腹だろう。しかし、それでは自立的に建築を志す人材が育たない。安い報酬で、激務を強いられ、
責任ばかり押しつけられたらどうなるか。産科医師が、激減している状況を見ればいい。
建築界も、創造現場の芯が、空洞化する恐れがある。
建築士に設計を発注するデベロッパー側からも「下請けを叩けば済む話ではない」との声が
聞こえてくる。準大手デベロッパーの建築部長は、マンション建設のコスト増を次のように
見ている。
「10階建て50戸程度のマンションで、これまで25〜30万円程度で収まった確認申請料が、
約2倍になります。さらに適合性判定の手数料が30万円くらい。手数料だけで100万円くらいに
なるでしょう。これを一方的に建築士に負担させたら、建築士が消えますよ。やはり設計料は、
2割〜5割増しになるでしょう。いままで建築士は安くこき使われていましたからね。とくに構造
建築士は、上げなきゃ請けてもらえなくなる。ゼネコンも基準が厳しくなって躯体工事費が
2割程度上がると言っています。着工後の計画変更はしたくない。フリープランのご提供は
難しくなるでしょう」
では、新たに設けられた膨大な手数料は、どう使われるのだろうか。現在、年間、数千棟の
マンションが新築されている。それらが「金のなる木」に変わるのだ。
新制度で、高さ20メートル超のマンションや、木造の3階建て以上の住宅は、耐震偽装を防ぐ
大義名分で構造計算が適切かどうか「構造計算適合性判定」を受けなければならなくなった。
判定は、知事の「指定構造計算適合性判定機関」で「専門家による審査(ピアチェック)」によって
行われる。その費用は棟ごとにかかる。
新たに仕事が始まるのだから費用が発生するのは当然だとしても、建設業界内では手数料のうち
数十億円が適合性判定の総元締め財団法人日本建築センターに流れるのではないかと言われている。
同センターの現役理事長以下、理事や評議員には国交省(旧建設省)出身者がずらりと並んでいる。
−続く−