積水ハウスや大和ハウス工業など住宅大手各社が
9月に京都市で始まった新景観策に対応した住宅の販売に乗り出した。
戸建て住宅やアパートに、市内の広範囲で和風を基調としたデザインが求められ、
屋根のこう配や外壁の素材などにも細かい規制が加わったため。
住宅着工の低迷など逆風は強いものの、市内での事業継続に向け各社は対応を急いでいる。
積水ハウスは新条例施行と、新条例を踏まえた都市計画変更などの景観策に対応した
戸建て住宅の新ブランド「五洛(ごらく)」を立ち上げ、市内全域で販売を始めた。
住宅大手が市単位のブランドをつくるのは異例。
木造と鉄骨それぞれの2階建て住宅で計3種類を投入。
同社が全国展開する洋風住宅に比べて屋根のこう配を5度程度緩やかにし、屋根材には瓦を採用した。
五洛では顧客から要望があれば土壁風の加工を施すことも可能。
「新京都式」への対応は「外装だけでも約100万円のコスト高」
(関西第2営業本部の仲谷政巳部長)になる計算。
だが、市内中心部で町家風の住宅にあこがれる顧客を中心に、五洛はすでに20件程度の受注があるという。
同社は賃貸アパート「シャーメゾン」でも屋根のこう配を緩やかにし、瓦を使った「京洛舎」ブランドを立ち上げた。
大和ハウス工業も市の担当者と約3カ月間、協議を重ね、賃貸アパート「セジュール・ウィルモア」で
京都仕様の商品展開を始めた。
外部に突き出たバルコニーを外壁の内側に入れる設計にし、1階と2階の間にひさしを設けた。
周辺の住宅と調和するような外壁への色付け加工なども今後検討するとしている。
市の施策を受け、市内の広範囲で新設住宅の屋根材に瓦や金属板などの使用が必要となる。
外壁は周辺環境と調和する色彩が求められ、土壁や木材、しっくいのような和風の趣を持つ
壁材を求められる。金属製の格子も景観を阻害するとして一部地域では規制の対象となる。
住宅各社にとっては厳しい施策だ。だが、積水ハウスでは、過去3年半に市内で受注した約500件の
住宅のうち3割以上が新景観策に照らし合わせると「条例違反」。
既存物件の建て替え需要もかなりあるため、同社は京都での戸建て事業の継続には新施策への
対応が不可欠と判断した。
大手がいち早く対応住宅を投入したことで、市内でシェアを競う各社も追随するもようだ。
そーす
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news000409.html